研究課題
平成26年度は、DNAアレイ解析による液性因子の網羅的検索を通じて持久性走運動トレーニングが惹起する白色脂肪細胞の褐色脂肪細胞化(ブライト脂肪細胞化)について検討した。これまで、ブライト脂肪細胞の形成には多くの液性因子が関与することが報告されている。中でも、born morphologic protein(BMP)ファミリーは白色脂肪細胞からも分泌され、BMP7はブライト脂肪細胞化を誘導することが報告されている。我々は、持久性走運動トレーニングにより鼠径皮下および後腹壁白色脂肪細胞におけるBMP4、BMP5、BMP7の発現が変化することを見出した。興味深いことに、BMP7 mRNAの発現は、持久性走運動トレーニング群より得られた鼠径皮下白色脂肪細胞ではコントロール群と比べて2倍以下に減少したが、後腹壁白色脂肪細胞ではコントロール群と比べて約3倍増加することが明らかとなった。さらに、近年、ブライト脂肪細胞化の誘導作用を有することが報告されているアクチビンの関連分子の挙動について注目すると、持久性走運動トレーニングにより、鼠径皮下白色脂肪細胞のアクチビン受容体mRNA発現はコントロール群と比べて約3倍増加するにも関わらず、後腹壁白色脂肪細胞では顕著な変化は観察されなかった。すでに、鼠径皮下部と後腹壁部の白色脂肪細胞の一部は、持久性走運動トレーニングによりブライト脂肪細胞へと変化することを明らかにしている。しかしながら、持久性走運動トレーニングによる両部位のブライト脂肪細胞化のメカニズムは異なる可能性が考えられる。すなわち、鼠径皮下部のブライト脂肪細胞化には、アクチビン受容体の発現増加に伴う感受性の変化が関与し、後腹壁白色脂肪細胞のブライト脂肪細胞化には、白色脂肪細胞から分泌されるBMP7による調節作用が関与しているものと推察される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Scientific World Journal
巻: 2014 ページ: 685854
10.1155/2014/685854