研究課題/領域番号 |
24300224
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
町田 修一 東海大学, 体育学部, 准教授 (40421226)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サルコペニア / 幹細胞 / エピジェネティクス |
研究概要 |
加齢に伴い骨格筋の筋肉量および筋力は低下する。しかし、この加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)の発症メカニズムの詳細については十分に解明されていない。申請者らはこれまで、ヒトのサルコペニアと類似した表現型を示すサルコペニアモデルラットと実験モデル(筋損傷再生モデル)を用いて、筋再生に重要な役割を担う組織幹細胞である筋衛星(サテライト)細胞の増殖能および筋分化能が加齢に伴い変化することや、高齢期の再生筋では脂肪蓄積が顕著に認められることを報告してきた。本研究では、高齢期骨格筋で認められる筋損傷後の再生能の低下や脂肪蓄積に対する事前の運動トレーニングの予防効果について、サテライト細胞の後天的な遺伝子発現制御に着目して検討することを目的とした。平成24年度では、筋サテライト細胞を用いて遺伝子発現制御を検討するための培養条件の確立と筋サテライト細胞数を増加させる走トレーニング条件について若年期ラットを用いて検討した。走トレーニングは雄性ラットに週5日の頻度で10週間実施させ、トレーニング終了後、足底筋を摘出し、凍結切片を作成し、筋サテライト細胞(Pax7)やマクロファージ(ED1)を特異的に認識する抗体を用いて免疫組織化学染色を実施した。10週間の運動トレーニングによって、足底筋の筋サテライト細胞数が有意に増加した。しかし、免疫細胞であるマクロファージの数については、10週間の運動トレーニングの影響は認められなかった。初年度の研究成果より、筋サテライト細胞の遺伝子発現制御を検討するための培養条件やランニングトレーニングによって筋サテライト細胞数が増加するトレーニング条件(運動強度や運動時間)を確立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、初年度に高齢期の実験動物を用いて筋サテライト細胞の培養や走トレーニングを実施する予定であったが、培養やトレーニング条件の検討に時間を費やしてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2013年4月から実験施設や研究環境の整った順天堂大学大学院スポーツ健康科学科に異動した。今後、初年度に確立した培養条件や走トレーニングを用いて、高齢期のラットに応用する。そして、高齢期骨格筋から摘出された筋サテライト細胞の増殖能や筋分化能、脂肪細胞への多分化能について分子、細胞、組織レベルで検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に高額のサルコペニアのモデル動物を用いて実験を実施する計画であったが、細胞培養やトレーニング条件の検討に時間を費やしてしまったため、高齢期ラットを用いた実験は行わなかったため、助成金の繰越が発生した。次年度については、繰越金と併せて高齢期動物を使用する実験の予算と動物の飼育やトレーニングの実施に対する大学院生等への謝金として有効利用する予定である。
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