研究課題/領域番号 |
24300227
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
冨樫 整 山形大学, 保健管理センター, 教授 (60192209)
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研究分担者 |
玉手 英利 山形大学, 理学部, 教授 (90163675)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 応用健康科学 / 保健健康管理 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 高血圧 / 大学新入生 / 環境因子 / バイオマーカー |
研究概要 |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、飲酒歴がないにもかかわらず、肝細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態である。NAFLDは、メタボリックシンドロームの肝での表現形と考えられている。大学新入生を対象として、NAFLDが高血圧を発症させる機序を液性因子、遺伝子多型、更にはアンケート調査という環境因子を加味した情報ネットワーク機構の面から解明し若者の末永い健康の達成に寄与することを目的としている。 体成分分析器にて計測した体脂肪量や体脂肪率は、生活習慣病危険因子と強い相関性を示した。肝硬度の低下は体脂肪量や体脂肪率に比べ、生活習慣病危険因子とより強い相関性を示した。多変量解析の結果では、男性、肝硬度の低下、脂肪肝の存在、血糖値が高血圧(収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上)に関連した危険因子であった。血中におけるレニン、アンギオテンシンII、アルドステロン値は、高血圧群と非高血圧群間に差はなかった。遺伝子多型解析では、脂質代謝や熱産生を調節するβ3-ARがNAFLDと高血圧発症に関連する遺伝子候補と考えられた。NAFLDかつ高血圧がある新入生は、将来的な心脳血管イベント発症のリスクの高い群と考えられる。アンケート調査による環境因子の解析結果から、同群の特徴として塩分の摂取量に差はなく運動不足の自覚が関連性を有していた。また、動物実験(マウス)とバイオインフォーマティックスによる探索結果から、NAFLDと高血圧に関連する可能性のある二つの遺伝子を同定した。これらは、肥満、NAFLD、高血圧と密接に関連していることが予測され、情報ネットワークとの関連性からその意義を明らかにしたい。また、医学部との共同研究として山形県民を対象とした山形コホート(約20,000人)を加えての調査・解析を行い、大学新入生で得られた成績を一般住民で検証し研究を発展させたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に構築した研究体制は機能しており、データ蓄積は順調である。大学新入生の健康診断を端緒とした研究であるが、バイオインフォーマティックスによる遺伝子探索により、新規バイオマーカー候補も同定されている。また、一般住民の解析へと発展しておりその成果については逐次投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
解析対象者を増やし、血液からDNAを採取し、遺伝子解析を中心に研究を遂行する。 生活習慣や食生活のアンケートを充実させ、環境因子の解析に力を注ぐ。 新規バイオマーカー候補の情報ネットワークにおける意義付けを明らかにする。 約20,000人の山形コホートを対象とし、応用健康科学の発展に寄与する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行の効率性を考え、遺伝子解析とバイオマーカー測定について、最終年度(平成26年度)にまとめて行うこととした。 山形県民を対象とした山形コホート(約20,000人)を加えての調査・解析を行うので、疫学に関する専門的知識を有する研究補助員を雇うこととした。 保存しているDNAの遺伝子多型解析に関わる費用を外注にあてる。保存している血清におけるバイオマーカーの測定のためELISAキットを購入にあてる。疫学に関する専門的知識を有する研究補助員を雇うための人件費にあてる。
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