研究課題/領域番号 |
24300229
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
藤田 大輔 大阪教育大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (70243293)
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研究分担者 |
豊沢 純子 大阪教育大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90510024)
小山 健藏 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00162082)
大道 乃里江 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20243280)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 安全教育学 |
研究概要 |
アジア・太平洋諸国の小学生の安全意識・安全知識・安全行動に関わる情報と経験の特徴を明らかにするために、同地域の小学生及び中学生を対象として、安全意識・安全知識と安全行動の発達的特徴とその心理的構造の特徴を測定することを目的とした質問紙調査票を作成し、日本、タイ王国、マレーシア、中華人民共和国(中国)の小学校及び中学校で調査を実施した。 調査票は、ソーシャルサポート認知を測定する尺度、6要因型の安全統制感尺度、対人信頼感尺度、セーフティー・コンサーン(安全に関する関心)尺度、自己効力感尺度から構成されている。 回収された調査票は、日本では小・中学校5校から、小学生1134名(男子578名・女子556名)、中学生680名(男子357名・女子323名)、タイ王国では小・中学校24校から、小学生1751名(男子725名・女子1026名)、中学生895名(男子353名・女子541名)、マレーシアでは小・中学校4校から、小学生990名(男子456名・女子531名)、中学生426名(男子178名・女子248名)、中国では小・中学校7校から、小学生3997名(男子2060名・女子1937名)、中学生1740名(男子848名・女子892名)で、総計11603名となった。得られたデータを集計・分析した結果、ソーシャルサポート認知、6要因型安全統制感、対人信頼感、セーフティー・コンサーン及び自己効力感のそれぞれの尺度の平均値において、国別・性別・学年別に統計学的に有意な差が観察され、調査地域の小学生及び中学生における、安全意識・安全知識と安全行動の地理的・発達的特徴の一部を明らかにすることができた。 この調査結果に基づいて、平成26年3月に、海外の研究協力者を大阪に招聘して検討会議を開催し、e-learningを用いた安全学習システムに搭載する学習課題に関する意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学生及び中学生を対象にアンケート調査を実施し、日本では東京都・奈良県・広島県・高知県の小・中学校5校から、小学生1134名・中学生680名の計1814名、タイ王国ではバンコク市・チェンマイ市・ウドンタニ県・スラッタニ県の小・中学校24校から、小学生1751名・中学生895名の計2646名、マレーシアではプトラジャヤ連邦直轄地の小・中学校4校から、小学生990名・中学生426名の計1416名、中国では北京市・上海市・昆明市・成都市の小・中学校7校から、小学生3997名・中学生1740名の計5737名のデータが回収され、地域特性を踏まえつつ、総計1万名を超える大規模データが収集された。 また平成26年3月に開催した検討会議において、収集されたデータの国別特性を考慮しつつ開発した安全学習教材を使用して、海外の現地小学校で実証実験授業を展開することについて、海外の研究協力者の同意を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度中にアンケート調査が実施できなかったアメリカ合衆国、台湾及びベトナム等の小学校及び中学校において、海外の研究協力者の支援を得て、安全意識・安全知識・安全行動に関する質問紙調査を追加実施する。 得られた追加データを、平成25年度中に回収されている日本・タイ王国・マレーシア・中国のデータベースに統合して改めて集計作業を行い、その集計結果について、海外の研究協力者の意見を収集しつつ結果の分析と検証を行う。 平成26年11月に、海外の研究協力者を日本に招聘して、本件調査結果に関する国際ワークショップを開催し、既存のe-learningを用いた安全学習システムを通じて海外の小学校において新たに実証実験授業を展開する安全学習課題の選定とその学習効果評価尺度の開発に関わる意見交換を行う。 選定された安全学習課題の日本語ナレーションを中国語に翻訳し、先進的な安全学習活動に取り組んでいる台湾の小学校で、本件e-learning教材を用いた安全学習の実証実験授業を実施し、その教育効果を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
アメリカ合衆国California州Los Angeles市における児童・生徒に対するアンケート調査実施への協力仲介を要請しているLos Angeles Unified School District (LAUSD)からの調査協力に関する回答が遅れていること、台湾における調査協力を要請している台湾International Safe School認証センターからの協力校確定作業が遅れたこと、及びオーストラリア連邦における研究協力者の異動により同国での調査実施が困難となったことにより、アメリカ合衆国、台湾及びオーストラリア連邦での調査打ち合わせ及び調査実施が延期され、予定していた人件費・旅費・調査費が執行できなかった。 台湾における調査実施に関しては、平成26年3月末に台湾の研究協力者から、調査協力校の承諾が得られて平成26年6月中にアンケート調査を実施することが可能になったと連絡を受け、台湾で執行を予定していた人件費・旅費・調査費を平成26年度に使用する予定である。 またオーストラリア連邦で調査が実施できなくなったものの、新たにベトナム社会主義共和国の研究協力者から調査協力の申し出を受け、平成26年9月中に、ベトナム社会主義共和国でアンケート調査を実施することが可能となった。そのため当初予定していた調査対象地域に、新たにベトナム社会主義共和国を追加し、オーストラリア連邦での執行を予定していたアンケート調査実施のための人件費・旅費・調査費を使用する予定である。
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