研究課題/領域番号 |
24300235
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
目崎 登 筑波大学, 名誉教授 (30010408)
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研究分担者 |
家光 素行 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (90375460)
相澤 勝治 専修大学, 文学部, 准教授 (80375477)
佐藤 幸治 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20584022)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 性ステロイドホルモン / 加齢 / サルコペニア |
研究概要 |
我々は、骨格筋内にて性ホルモン合成酵素の発現を検出していること、性ホルモンの前駆体であるデヒドロアンドロステロン(DHEA)からアンドロゲンを代謝合成すること、性ホルモンは筋内の糖代謝を亢進させることを発見してきた。しかしながら、これらの成果は細胞培養や動物実験での検討であり、ヒト骨格筋では明らかでない。本研究課題により、現在まで、ヒト骨格筋内にて性ホルモン合成酵素が発現していること、加齢により、これらの発現や性ホルモン濃度が低下することを明らかにした。そこで本研究は,高齢期のレジスタンストレーニングによる骨格筋内性ホルモン合成酵素の発現変化について検討した。健常高齢男性13名(67±2歳)を対象に、12週間の膝伸展、屈曲のレジスタンストレーニング(1RM70%負荷、10回×3セット、週3回)の実施前後に外側広筋より筋生検を行った。性ホルモン合成酵素である3β-HSD、17β-HSD、5α-reductaseのタンパク発現は、加齢により低下したが、12週間のレジスタンストレーニングにより有意に改善した(P<0.05)。さらに骨格筋内のDHEAおよびfree testosterone、DHTを測定した結果、加齢により低下したが、12週間のレジスタンストレーニングにより有意に改善した(P<0.05)。また、骨格筋内の性ホルモン(free testosteroneおよびDHT)濃度は筋横断面積あるいは筋力と有意な正相関が認められた。これらの結果から、高齢期のレジスタンストレーニングは加齢によって低下した骨格筋内の性ステロイド合成代謝を改善させることにより、筋量・筋力の改善に関与する可能性が示唆された。加齢による体内の性ホルモン濃度低下はサルコペニアリスクを上昇させることから、筋内の性ホルモン濃度を維持・増進させることは重要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画は、加齢により低下するヒトの骨格筋内の性ステロイドホルモン代謝酵素の発現がレジスタンストレーニングによってどのように変化するかを検討することであったが、高齢期からのレジスタンストレーニングにより骨格筋内の性ステロイドホルモン合成酵素のタンパク発現や性ステロイドホルモン濃度は有意に改善したことを解明したことから、当初の予定通りに研究が遂行されていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は予定通り実施する予定であるため、変更点はない。加齢によって低下した骨格筋内の性ステロイドホルモン合成酵素が運動や栄養摂取によって改善するのか、また、糖代謝への影響について検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
被験者のリクルートからの介入実験を実施する際に被験者の予定や検者側等々の調整に時間を要ししたために、その後の解析の予定や購入発注が遅れたため。 加齢によって低下した骨格筋内の性ステロイドホルモン合成酵素が栄養摂取によって改善するのか、また、糖代謝への影響について検討するため、高齢者に対して、性ステロイドホルモン産生を促進するサプリメント摂取時の影響を検討するため、血中ホルモン濃度の測定用キットの購入に充てる。また、運動やサプリメント摂取による糖代謝への影響も検討していくため、各種シグナル伝達経路および酵素タンパクの抗体や遺伝子発現解析のための試薬・消耗品についても購入する予定である。
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