研究課題/領域番号 |
24300240
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
朴 眩泰 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 生活機能賦活研究部・運動機能賦活研究室, 室長 (10506976)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 加齢・老化 / 身体活動 / 認知症 / 運動 / 生活習慣 |
研究概要 |
本研究の目的は、軽度認知症(MCDを有する高齢期の身体活動と健康との関係を種々様々な観点から検討し、活動パターンと認知機能および脳活性との関連性を検討することであった。平成24年から、65歳以上の全住民約5,000名(寝たきりや認知症は除く)を対象に、総合的な健康診査や体力測定、アンケートなどから成る疫学調査を行った。これには、介入研究のためのベースラインデータの収集、加速度センサー付き体動計による身体活動観察研究のための縦断データの収集、歩行解析、認知機能評価、fNIR(遠赤外線分光法)を用いたタスク実施時の外側前頭前野脳活動の解析の測定、酸化ストレスマーカーなどの測定を縦断的に行っている。健康診査には、検診順に、認知機能評価、胸部X線撮影、尿検査、身体(身長、体重)計測、踵骨測定、身体組成(部位別の脂肪量、除脂肪量、推定筋量など)測定などが含まれた。すべての対象者には、本研究の趣旨を十分に説明し、参加に対する同意を得た。 横断的解析では、軽度認知症(MCI)を有する高齢者の日常身体活動の量(歩数)と質(中強度活動時間)は睡眠の質と有意な関連があり、その傾向は特に女性のほうが大きかった。更に、この関係は中強度活動と歩数の相互関連性があるほど良好な睡眠状態であることが示され、単純に歩数・中強度活動時間のみではなく、適切な活動の量と質の組み合わせが重要であると考えられる。また、外出を伴う日常活動の実施頻度は言語流暢性課題中の前頭前盛の脳活性と有意な関連性があることを確認した。本研究により、MCIにおける認知機能と日常身体活動と不眠症との関連性を検討した研究結果から、これまでほとんど重視されることのなかった活動のパターンと睡眠障害について研究および理解が進むことを期待したい。ただし、その結果は横断的研究結果であるため、現在実施中の縦断研究により相互関連性を検証することが重要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は大希望の研究であり、チームの協力体制や研究員が必要である。現在、当センターおよび研究協力者との体制により、横断研究・介入研究・身体活動パターンの解析は当初の計画以上に進展している。しかし、参加高齢者の安全・リスク管理を含めた調査計画およびそのための多くの必要研究スタープの必要のため、脳画像および脳活性に関する測定および解析はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は本研究計画によって、横断データ解析結果から得た結果の検証を行う必要がある、そのため、研究計画による縦断解析でそれらを行う。また、研究課題一部の解析時期の遅延に伴う調査を計画的に進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査及び解析データ処理に伴う人件費・謝金に年度末残金を含め使用する。
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