研究課題/領域番号 |
24300243
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 石巻専修大学 |
研究代表者 |
坂田 隆 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (00215633)
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研究分担者 |
大竹 美登利 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40073564)
小川 宣子 中部大学, 応用生物学部, 教授 (30139901)
佐々井 敬 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60017241)
中島 明子 和洋女子大学, 家政学群, 教授 (30113294)
浜島 京子 福島大学, 人間発達科学, 教授 (20125785)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 生活研究 / 石巻 / 仮設住宅 / 被災者支援 / ボランティア |
研究概要 |
東日本大震災による巨大地震、津波により生活基盤を失われた被災者、特に仮設住宅に入居している人々の生活復興の過程を、石巻市を調査対象として、生活再建をともに担う協働者として関わりながら、そのコミュニティの生活変化を捉えていくことを目的として、本研究に取り組んだ。 本年度は、第1に、石巻市で支援に関わっているボランティア団体、例えば、ピースボートや石巻復興支援協議会、ふるさと復興協議会など16団体のメンバーにインタビュー調査し、震災直後から2年間の間の活動の変遷から、生活支援ニーズの変化の局面を分析した。その結果、支援活動は、仮設住宅への入居により、コミュニティ形成のための支援が中心となり、その後、収入確保のための支援へと移行した。コミュニティ形成を目的としたイベントが内職による収入の確保に結び付く例や、インフラ復旧のための整備が店舗再生などに展開する例もみられた。震災から1年が経過すると、支援団体による被災者雇用や起業支援など被災者の自立・自活を意識した取り組みがみられるようになり、支援団体から地元への活動の引き継ぎや被災者主体の復興まちづくりが課題となっていた。また、災害時の料理提供者および被災者にとって有効な献立を提案するために、炊き出し時の献立分析を行った。 第2に、2012年8月に仮設住宅の住民を対象に、現在の生活と将来の移転についての意向を把握して復興に向けた生活ニーズを把握するために「震災後の生活と復興に関するアンケート調査」を実施した。1882枚配布し385枚を回収した。その結果、仮設住宅の住み心地、特に広さ、収納スペース、遮音、暑さ・寒さへの不満が大きいことが明らかになった。また近所との付き合いは、挨拶程度が最も多く、2割ほどの人が親しい人はおらず、4割が入居後に親しい友人ができておらず、孤立している住民も多く、コミュニティ形成が大きな課題であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
支援に関わっているボランティア団体を中心にしたインタビュー、並びに仮設住宅住民への調査を実施することができ、計画にそった取り組みができた。
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今後の研究の推進方策 |
インタビューデータやアンケート調査の分析をすすめ、これまでの成果を単行本として出版する。さらに生活支援を通して被災者との関係性が構築されたことから、今後が仮設に入居している被災者へのインタビュー調査も実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
役割分担の調査推進において、調査内容や具体的な調査用紙作成には関与できたが、現地での調査実施に参加できず、交通費の使用〓〓らなかった。次年度は現地での調査に参加するので当初の計画通りの使途になる。 仮設住宅の居住性や再建については、仮設住宅居住者へのインタビューを行う予定であったが、居住者との信頼関係を形成した上で実施することが重要であることが判明し、これを繰り延べたため繰越金が生じたが、次年度については実施することが可能となっているため、計画通りの使途となる。 「炊き出しの食品衛生マニュアル」を出版の予定であったが、作成にあたり進捗が遅れたため、打ち合わせ用の交通費などの使用に至らなかった、また、炊き出しメニューの分析について聞き取り調査にまで至らなかった。次年度はこれらの活動が進めば当初の計画通りの使途になる。 次年度はインタビュー先を増やし、少し頻繁に石巻に調査に行くこと、機会を見て調査研究結果を公表していくための費用として計画している。
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