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2013 年度 実績報告書

マイクロ・ナノバブルを応用した低環境負荷型洗浄システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24300249
研究機関共立女子短期大学

研究代表者

山口 庸子  共立女子短期大学, 生活科学科, 教授 (20201832)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード洗浄 / 環境 / マイクロ・ナノバブル / 表面張力 / 界面活性剤 / LCA / 家庭洗濯 / LAS
研究概要

超微細気泡発生装置(AS-K3型・アプス製)を用いて、酸素を導入気体として曝気時間と装置停止後の水道水(25℃)の表面張力を測定した。測定には高速表面張力計(AquaPi・キプロン社製)を使用した。その結果、曝気時間の長いものほど表面張力は低下し、回復に時間を必要とするなどマイクロ・ナノバブルル発生の量的な特性を明らかにすることができた。一方、超音波を併用したマイクロ・ナノバブルの水中発生は、撹拌効果によって最大溶存酸素量に達する時間を短縮するが、発生量を助長しないことを確認した。
水温上昇を避けて微細気泡を発生できる装置(MA2型・アプス製)を用いて、マイクロ・ナノバブル水と界面活性剤の併用が洗浄に及ぼす影響を評価した。界面活性剤には、イオン性の異なるLAS、AE(EO鎖長C6~C15の異なる4種)、塩化ベンゼトニウムを使用した。それぞれ臨界ミセル濃度を求め、湿式人工汚染布(JISC9606)を用いて洗浄力を評価した結果、何れの界面活性剤に於いてもマイクロ・ナノバブル水と水道水の間に明らかな違いはなかった。しかし、マイクロ・ナノバブルとLASを併用した場合、LASのみと比べて臨界ミセル濃度以下のLAS濃度では表面張力を大きく低下させるなど併用による相乗効果を確認することができた。また、ウォッシャブルフェルトを用いた吸水性評価から、マイクロ・ナノバブル水とLASの併用によって実際にヌレ易くなるなど、マイクロ・ナノバブルの水洗浄系への応用の可能性を確認することができた。
マイクロ・ナノバブル水の環境負荷を抑えた家庭洗濯への応用に向けて、家庭用洗濯乾燥機(縦型、ドラム式)を用いた家庭洗濯のLCA分析を行った。その結果、上下水道に起因するGHG排出量は約50%を占め、風呂の残り湯の使用により30%削減できることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

表面張力の測定からマイクロ・ナノバブル発生のメカニズムとして量的な特性を明らかにすることができた。更に、イオン性の異なる界面活性剤を対象に併用効果を明らかにするなどの実験データの集積と解析を順調に遂行している。
家庭洗濯への応用に向けて、風呂の残り湯の利用を想定した工程別の実験及びLCIデータの収集・解析からGHG排出量を算定することができた。さらに、貸しおむつ業のGHG排出量の算定を取りまとめ学会や業界との情報交換に役立てることができた。

今後の研究の推進方策

マイクロ・ナノバブル水の洗浄系における基本性能の解明に加えて、マイクロ・ナノバブル水との併用に適合する界面活性剤の選定を継続して行う。更に、マイクロ・ナノバブル水と界面活性剤を併用した実際の洗浄系への応用に向けて、洗浄性能を向上させるための洗浄条件の設定として、表面張力や吸収性能、清浄度など洗浄性能に関わる評価を行い検証する。また、酵素活性に及ぼすマイクロ・ナノバブルの影響評価として、経時的に変化する酵素活性の測定を追加して検討する。
家庭用洗濯乾燥機を用いた実用試験に食器洗浄機や業務用洗浄機を想定するなど応用範囲を拡大して検討することから、マイクロ・ナノバブルの水洗浄系への活用・導入の可能性を考察する。

次年度の研究費の使用計画

実験の経過に伴いナノバブル生成を視覚的に評価するマイクロスコープ(購入予定)を用いた方法から、酵素活性を評価する分光光度計(本年度購入)を用いた測定方法へ変更したために生じた。
マイクロ・ナノバブルと酵素の併用効果の詳細な評価として、清浄度の評価に加えて酵素活性の経時的な測定を実施する。この測定に必要とする分光光度計の付属装置を購入し、マイクロ・ナノバブル水の洗浄系における性能評価に役立てる費用とする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 洗濯に関するLCAの評価事例 -衣類の使用・消費段階-2014

    • 著者名/発表者名
      山口庸子
    • 雑誌名

      日本繊維機会学会誌 月刊せんい

      巻: Vol. 67 ページ: 171~178

  • [雑誌論文] マイクロ・ナノバブル水の洗浄に関わる基本性能2014

    • 著者名/発表者名
      山口庸子、中村弥生
    • 雑誌名

      共立女子短期大学生活科学科紀要

      巻: Vol. 57 ページ: 15~21

  • [雑誌論文] 貸おむつのGHG排出量の算定2013

    • 著者名/発表者名
      山口庸子、田原聖隆、小関康雄、永山升三
    • 雑誌名

      日本LCA学会誌

      巻: Vol. 9 ページ: 306~314

    • 査読あり
  • [学会発表] 貸おむつ業のGHG排出量の算定2014

    • 著者名/発表者名
      山口庸子、田原聖隆、小関康雄、永山升三
    • 学会等名
      第9回日本LCA学会研究発表会,
    • 発表場所
      芝浦工業大学 豊洲キャンパス
    • 年月日
      20140304-20140306
  • [学会発表] マイクロ・ナノバブル水の洗浄に関わる諸性能について2013

    • 著者名/発表者名
      山口庸子、中村弥生
    • 学会等名
      日本油化学会主催 第45回洗浄に関するシンポジウム
    • 発表場所
      江戸川区総合区民ホール
    • 年月日
      20131111-20131112
  • [学会発表] レンタル布おむつの洗浄工程に関するLCA2013

    • 著者名/発表者名
      山口庸子、田原聖隆、小関康雄、永山升三
    • 学会等名
      日本油化学会主催 第45回洗浄に関するシンポジウム
    • 発表場所
      江戸川区総合区民ホール
    • 年月日
      20131111-20131112
  • [学会発表] 洗濯に関するLCAの評価事例

    • 著者名/発表者名
      山口庸子
    • 学会等名
      日本繊維機械学会講演会 繊維工業におけるLCAの現状と課題
    • 発表場所
      大阪科学技術センター
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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