研究課題/領域番号 |
24300251
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
櫻井 直樹 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (90136010)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 食感 / テクスチャー / 加速度センサー / 野菜 / 加工食品 / 保存条件 / 萎れ / 振動 |
研究概要 |
平成24年度は、新しい自由滑走する食感装置の試作機を完成した。 当初は、プローブの操作をエアスライド(京セラ製)で行なうことを計画していたが、400万円近くかかり、しかも速度を制御させるためには制御部にさらに費用がかかることが判明したので、摩擦が少なく、堅牢なフッ素樹脂を用いて試作機を自作した。プローブはフッ素樹脂の約1メートルのレールをすべるようにした。このレールを傾斜角度1度ほどに傾け、プローブを重力によって自由滑走させる装置とした。この装置を作るにあたっては、滑走中の摩擦や振動を低減するために、さまざまな改良を行なった。また、新しい摩擦係数やエネルギー値の計算には、プローブがサンプルに挿入される直前の初速度が必要となる。この初速度の測定を、光センサーによる速度計をレール上に設置することにより実現した。プローブの初速度は、レールを1度に傾けた場合、サンプルに当たる直前で約200mm/秒のスピードに調節できることが分かった。ヒトが食品を咀嚼するときのスピードは20~200mm/秒であるので、プローブの速度は咀嚼速度の速い数値に相当する。 以上の結果、摩擦係数及び、エネルギー値を本試作機で試験的に計算することができた。当初の予定通り、食感エネルギー値(ETI)は、サンプルに挿入されるプローブの重量を500gに調整したことから、初速度と重量から、ETI(Energy Tbxture Index)=(1/2)m×v^2(mはプローブの重量、vはプローブの初速度)として計算することができた。プローブの最低重量は500gに調整することとした。これは子供の下顎の重量に相当する。プローブは重りを追加する構造とし、成人の下顎1000gに調整できるようにした。以上より、次年度に向けての研究の基盤が完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、エアスライド(京セラ製)が使用できなかったが、それと同等の機能を持つ試作機をフッ素樹脂を用いて作ることができた。また、来年度に向けて、プローブの諸速度を光センサーで測り、プローブの重量を可変にできる構造としたため、大人と子供の食感の違いなどを数値化する基盤が完成できたので、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
24年度に完成した試作機を用いて、さまざまな食感の異なる食品の測定を行い、エネルギー食感値、及び新しい食品の食感評価パラメータである摩擦係数を測定していく予定である。また、大人と子供の食感に違いがあるかについてプローブの総重量を変化させて実験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度ではエアスライドを購入しなかったため、備品費が未使用となったが、この繰越の助成金は、25年度以降に研究補佐員を雇用することにより使用する予定である。
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