研究概要 |
骨量調節に関与するアルカリホスファターゼについて、加齢・老化や各種栄養因子の影響に着目し、本酵素の遺伝子発現調節のメカニズムを探り、ミネラル代謝との関連を明らかにして、今後の骨粗鬆症一次予防のための年代別公衆栄養プログラムの作成および実践活動に役立てることを目的とした。本酵素の機能ゲノム的研究により、骨粗鬆症一次予防や治療のための栄養管理に役立つ貴重な証拠を得られるだけでなく、本酵素の生理的機能解明においても重要な証拠が得られることが期待される。 平成25年度においては、研究実施計画に従って、「卵巣摘出骨粗鬆症モデルラット」や「妊娠ラット」を用いて、飼料の違いによる骨密度や組織中のアルカリホスファターゼ活性へ及ぼす影響などについて検討を行い、論文にまとめることができた(日本家政学会誌 64:199-206, 2013; 日本栄養・食糧学会誌 66:287-292, 2013)。また、牛乳・乳製品に含まれるラクトースの生体への影響として、カルシウム吸収促進作用や骨代謝改善作用について報告してきたが、さらに今回、ICR系雌マウスを用いた動物実験により、ラクトース摂取だけでなく、高脂肪食下でのラクトース摂取による体組成への影響について論文にまとめた(日本女子大学大学院紀要家政学研究科・人間生活学研究科第20号:173-178, 2013)。また、ヒトを対象とした栄養素等摂取状況と骨量測定、骨型アルカリホスファターゼ、遺伝子多型との関連について詳細な解析を進め、骨量調節に関連しているγ-グルタミルカルボキシラーゼ遺伝子多型について論文にまとめることができた(Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition 22:646-654, 2013)。さらに、ビタミンD受容体遺伝子多型との関連についても解析を進め、得られた成果について、第35回アメリカ骨代謝学会での海外発表を行い、現在、学術雑誌へ投稿中である。
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