研究課題
骨量調節に関与するアルカリホスファターゼについて、加齢・老化や各種栄養因子の影響に着目し、本酵素の遺伝子発現調節のメカニズムを探り、ミネラル代謝との関連を明らかにして、今後の骨粗鬆症一次予防のための年代別公衆栄養プログラムの作成および実践活動に役立てることを目的とした。本酵素の機能ゲノム的研究により、骨粗鬆症一次予防や治療のための栄養管理に役立つ貴重な証拠を得られるだけでなく、本酵素の生理的機能解明においても重要な証拠が得られることが期待される。研究実施計画に従って、骨量調節に関与するアルカリホスファターゼへの各種栄養因子(リン、ビタミンKなど)の影響について、実験を進めることができ、得られた結果について現在論文を作成中である。さらに、ヒトを対象とした栄養素等摂取状況と骨量測定、骨型アルカリホスファターゼ、遺伝子多型との関連について詳細な解析を進め、骨量調節に関与しているビタミンD受容体遺伝子多型と骨型アルカリホスファターゼなどとの関連について詳細な解析を行い、学術雑誌(Asia Paciic Journal of Clinical Nutrition)へ投稿し、現在印刷中(in press)である。また、骨粗鬆症一次予防のためのライフステージ別の公衆栄養プログラムを作成するための基礎的研究として、1歳2か月における母乳・ミルク・牛乳の栄養摂取状況と食生活との関連について検討を行い、論文にまとめて発表した(日本食育学会誌、8:273-281, 2014)。
2: おおむね順調に進展している
実施計画に従って、細胞などを用いた実験やヒトを対象とした研究などをおおむね順調に進めることができた。これまでに得られた研究成果を論文としてまとめて、学術雑誌へ投稿し、引き続き研究成果を公表していくことが望まれよう。今後は、タンパク質レベルだけでなく、細胞あるいは各組織よりRNAを抽出して、遺伝子レベルでの詳細な比較検討を進めていくことが必要である。
平成26年度に得られた結果を基にして、さらに詳細な解析を進める。すなわち栄養因子の違いによる影響について、骨型アルカリホスファターゼをはじめとする骨代謝マーカーを測定し、タンパク質レベルだけでなく、各組織よりRNAを抽出して、遺伝子レベルにおいても詳細な比較検討を進める。さらに、各組織よりDNAを抽出して、メチル化などのエピジェネティックな変化についても比較する。また、ヒトを対象とした食事摂取状況調査と骨量測定、骨代謝や栄養代謝関連の遺伝子多型との関連についても詳しい解析を進める。本研究計画については、日本女子大学ヒト対象倫理審査委員会の承認を得ており、研究協力者に研究の趣旨を掲示し、調査への協力は任意であること、また統計的に回答を処理し、対象者が不利益を被らないことを十分に説明し、同意を得てから研究を実施する。本研究成果を国内外の学術会議における発表や研究会、講演会、公開行事への参加、研究成果広報用のホームページなどにより公開し、骨粗鬆症一次予防のための啓発活動に役立てる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition
巻: 24 ページ: 329-335
10.6133//apjcn.2015.24.2.01
日本食育学会誌
巻: 8 ページ: 273-281
PLoS One
巻: 9 ページ: e107492
10.1371/journal.pone.0107492
http://www2.jwu.ac.jp/kgr/jpn/ResearcherInformation/ResearcherInformation.aspx?KYCD=00005727
http://mcm-www.jwu.ac.jp/~goseki/