研究課題
生活習慣病の進展に伴って組織にメイラード反応後期生成物(AGEs)が蓄積することが報告されている。これに対して、以前我々は脂肪細胞ではAGEsよりTCAサイクル中間体であるフマル酸の細胞内濃度が上昇し、システインのチオール基との反応からS-(2-succinyl)cysteine (2SC)が生成することを明らかにしている。通常TCA回路の異常は、組織や細胞を破砕してNADH/NAD比などを測ることによって評価されるが、血液検査等で生体2SCが測定可能となれば、組織を破壊せずにTCA回路の異常を評価することが可能となる。我々は内部標準となる13C-2SCを合成し、血清中2SCの定量系を確立した。しかし昨年の研究では、ラットに糖尿病を誘発しても血中2SCは有意な変動を示さなかった。そこで、如何なる病態で2SCが変動するかを確認する目的で、熊本大学との共同研究で糖尿病患者血清、福岡大学との共同研究で腎疾患患者の2SCを測定した。その結果、腎疾患の発症に伴って顕著に血中2SCが上昇することが明らかとなった。また、医療従事者による採血が不要で簡便に生体2SCを測定する系を検討した結果、2SCは髪、爪からも検出された。さらに指先から採取した微量血液から単離した血清からも2SCの測定が可能となった。その結果、コレステロール値の高い者および、コレステロール値は正常であるが、野菜嫌いな者で2SCが高値になる傾向が認められた。今後、2SC測定の検体数をさらに増やすことによって、2SCと病態、あるいは食習慣と2SCの関連がさらに明らかになると思われる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition
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10.3164/jcbn.15-13
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