研究課題/領域番号 |
24300271
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
中山 迅 宮崎大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90237470)
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研究分担者 |
猿田 祐嗣 國學院大學, 人間開発学部, 教授 (70178820)
鈴木 誠 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (60322856)
隅田 学 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (50315347)
内ノ倉 真吾 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (70512531)
稲田 結美 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 講師 (30585633)
三好 美織 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80423482)
大貫 麻美 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (40531166)
三宅 志穂 神戸女学院大学, 人間科学部, 准教授 (80432813)
小野瀬 倫也 国士舘大学, 文学部, 准教授 (00609761)
鈴木 宏昭 常磐大学, 人間科学部, 助教 (90581843)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 理科 / カリキュラム / 探究スキル / コンピテンス / 教科書 / 問い / 言語力 |
研究概要 |
言語活動に関する班では,中学校の理科教科書に書かれている問いの種類と場面について分岐し,(1) 探究過程の前半部分と後半部分で似たような問いが設定される,(2) 観察や実験よりも後の部分では,得られた事実によって可能になる一層具体的な問いが設定される,(3) 自然の仕組みや規則性を明らかにするための問いと,得られた科学的知識を用いて自然事象を説明するための問いがあり,探究の場面によって使い分けられる,(4) 内容領域によって異なる問いの立て方がある,などの傾向を明らかにし,さらに探究活動の「方法」に関する場面での問いの件数が少ないことについて問題を提起した。 科学的探究と学習科学的アプローチに関する検討としては,理科カリキュラムで育成したい探究能力の一つとしてモデリング能力を位置付けるという観点から,アメリカの”A Framework for K-12 Science Education”, ”Next Generation Science Standards”などの文献を収集し,その一部を読解した。 海外の教育課程については,特にフランスやフィンランドの調査を重点的に行い,科学的教養を備えた市民の育成に必要な取り組みについて明らかにしつつある。例えば,フランスの前期中等教育段階において新しく開発されている「科学テクノロジー統合教育」のカリキュラムについて,その特徴を検討し,生命・地球科学,物理・化学,テクノロジーの各教科を統合することにより,生徒を主体とする探究活動実施に向けた時間確保,共通基礎のコンピテンスの習得,学習事項を連関させた理解,などを可能としていることを見いだした。 個性を伸ばす教育については,幼年児及び中学生を主な対象として,個性と才能の豊かな子どもたちを対象とした,高水準な科学の探究力を幼児期から育成するカリキュラムをデザインして,試行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教科書分析によるカリキュラム分析については中学校についての成果発表がほぼ終了し,論文の掲載も決定している。小学校については分析が進んで最終年度はその成果の発表ができる状態である。個性を伸ばす理科カリキュラムについても,研究成果を発表することができた。海外のカリキュラム動向,学習科学を生かしたモデリング能力に関する研究,教員養成まで及ぶカリキュラムなど,各分野での検討が進んで,最終年度には,やり残した調査と成果発表を行う準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
科学における言語・班では,小学校の教科書における問いの分析を進め,中学校の教科書分析で明らかにされた課題と比較したうえで日本の特徴的な理科カリキュラムの特性を描き出し,望ましい探究カリキュラムに向けての問いの構成を見い出して発表する。 科学的な探究能力・班と学習科学を生かすカリキュラム・班では,(1)モデリング能力の育成に関する文献収集・読解,(2)子どもの自然のモデル化における認知的特性に関する調査の検討,(3)学習科学班でのモデリング能力調査の実施と分析を行い,成果を発表するとともに,教員志望学生に対する調査を実施して,教員養成と理科カリキュラムの関連も検討する。 市民の科学的リテラシー・班では,フランスの後期中等教育段階の初年次に実施されている科学教育の共通カリキュラムに焦点をあて,科学的教養を備えた市民を育成するためにどのような取り組みがなされているのか,現地調査と文献調査によりその特色を明らかにするとともに,これまで行ってきた研究を踏まえ,フランスの科学教育における言語能力,探究能力,科学力などの視点から研究をまとめ,学会誌等に成果を公表する。 全体としては,日本理科教育学会のシンポジウムと課題研究において成果を報告する。そらにを踏まえて,学会誌への報告を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究打合せ会議出張と学会発表の出張を重ねたことなどにより若干の余裕が生じたために次年度使用額が生じた。 最終年度となるため,成果発表の旅費として使用する。
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