研究課題
本研究では、東日本大震災発生後、半年毎に宮城県で環境の再生状況の現地調査を実施し、その結果を衛星画像と対応付けることで地球環境教育を実践する研究を実施して来た。半年毎の定点観測では、毎回、気仙沼市、北上川、女川町、南三陸町、石巻市、若林区、閖上等に出向き、写真撮影、分光反射測定、水質、土質調査等を実施した。復興の過程では、土地利用状況が刻々と変化する。このため、時系列の写真撮影では、変化のない山並等を背景に写すと、異なる時期に撮影した現地写真の対応関係が取り易いなどのノウハウも蓄積された。また、定点で撮影した現地写真等を衛星画像と対応付けることで、環境再生の状況が多角的に捉えられ、地球環境教育に適した教材となることが確認できた。また、復興の地域差も明らかになった。北上川の時系列衛星画像からは津波で水没した北上川河口付近の水田が年々、着実に再生している状況が明確になった。また、時系列の衛星データから算定した正規化植生指標の季節変動から、水田の再生状況がかなりの精度で確認できることもわかった。本研究では、毎回の調査に大学生や地元の高校生に参加してもらったが、彼らが、こうした調査やデータ解析を通じて、被災の深刻さや環境再生状況の力強さを実感し、問題意識を持つようになってくれたことは大きな成果であった。衛星画像で識別できた変化が地上で実際にどうなっているかを調査することは、学生たちのとって非常に価値のある地球環境教育であった。また、本研究を進める過程で、日本と欧州諸国との研究交流(CONCERT-Japan)の2年プロジェクトが立ち上がり、災害調査に関する国際協力に発展させることができたのも大きな成果であった。国際学会等で度々研究成果の報告を行ったが、災害からの復興状況を定点観測で継続的に調査した本研究に対する関心は高く、その波及効果は大きいと考えている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
IEICE Transactions on Fundamentals
巻: Vol.E99-A, No.8 ページ: 1551, 1554
http://www.ds.u-tokai.ac.jp/cholab/space-eye/indexj.html
http://www.tric.u-tokai.ac.jp/rsite/r1/jquick.html