研究概要 |
以前から,マサチューセッツ工科大学およびスタンフォード大学がそれぞれ,MIT Open Course Ware(以降,MIT OCW)およびStanford Engineering Everywhere(以降,SEE)にてオンラインで公開している講義を元に,オンライン講義コーパスを構築してきた.平成24年度に科学研究費による研究資金が得られてからまず英語を介した教育に関する英語非母語話者教員および学生のニーズを調査するために下記のように取り組んだ. 1日本国内にて英語による講義を準備している工学系教員を対象とした講演会等にて開発中の OnCAL(The Online Corpus of Academic Lectures)を使用して,感想・要望を聞いた 2日本国内にて留学を検討している日本人学部学生にOnCALの使用を促し,感想・要望を聞いた3.ヨーロッパにてCLIL(Content and Language Integrated Learning)専門家に対してOnCALの開発目的を説明し,感想・要望を聞いた 4.英語非母語話者教員および学生が英語を介した理工系教育に関わった際に生じる事象を取り上げた文献を調査した 上記から得られた情報から,教員の負担を軽減させるためや,学生の講義内容の理解度を上げるために言語支援は必要であることが明確になったが,どのような支援を必要としているかが教員も学生も自らわからず,OnCALシステムを活用できない状況も明らかになった.そこで,米国の大学で実施されている「講義」の中に,いくつかの典型的な「場面」を特定し,場面毎に出現頻度の高い表現を特定した.それらの「場面」とそれぞれの「表現」をOnCALシステムへ登録し,ユーザが単語や表現,そして場面を指定でき,講義コーパスをオンラインで検索できるようにした.これによってユーザが具体的に何を検索するべきかが最初に思い浮かべなくても,場面を指定すればその典型的な表現を表示させることにした.今後は,登録した「場面」および「表現」の有効性を確認していく必要がある.
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