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2012 年度 実績報告書

認知神経科学に基づく聴覚障害者の社会的コミュニケーション能力育成プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24300279
研究種目

基盤研究(B)

研究機関筑波技術大学

研究代表者

生田目 美紀  筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (20320624)

研究分担者 松田 哲也  玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (30384720)
渡邊 克巳  東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20373409)
永盛 祐介  筑波技術大学, 産業技術学部, 助教 (70553931)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード教育工学 / 社会的認知 / 聴覚障害 / 視線計測 / 補助教材 / fMRI
研究概要

本研究は聴覚障害者を対象とした、社会的コミュニケーション能力を向上させる補助プログラム教材を開発することを目的としている。聴覚障害者は、会話の内容だけでなく声のニュアンスや集団が発する雰囲気的な環境音等々の入手が困難なため、社会的認知活動にズレが生じてしまい、社会的コミュニケーションのモデル化が正しく行われない場合がある。そのズレを解消させるため、聴覚障害者の社会的コミュニケーション能力を向上させる対話型教材を開発した。この教材は、作品を評価し合うことで、問題や解決策を顕在化させ社会的コミュニケーションのモデル化を助けることを具体的な目標とするPeer Reviewシステム教材である。このシステムは、iPad上で起動するため、絵文字や感情アイコン等を使用することができる。学生は複数のクラスメートからのメッセージが届くため、お互いの気持ちや社会的コミュニケーション能力の育成を行いながら互いに作品を良いものにするために、切磋琢磨できる。24年度は実際にシステムを開発し、授業での導入を試みた。
認知心理実験では、矢印、顔の向き、視線の向き、指差しジェスチャーなどを手がかりとした時の、視覚的注意の変化を測定し、健常者と聴覚障害者を比較することによって、聴覚障害者による社会的注意の機能を計測した。独立変数として、被験者(健常者-聴覚障害者)、手がかりの種類(矢印、顔の向き、視線方向、ジェスチャー)、手がかりから反応ターゲットまでの時間を設定し、実験心理学的手法を用いてデータを集めた。聴覚障害者の注意機能を健聴者と比較し、聴覚障害者同士あるいは聴覚障害者と健聴者の共同注意のダイナミクスを調べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Peer Reviewシステムを開発し、実際に授業において実践した。このシステムは、1.学生が用いるiPad上で起動するアプリケーション、2.そのデータを教師用サーバにネットワークを介して飛ばすシステム、3.学生から受取ったデータを自動振り分けし学生のiPadへ割当を行い自動送信するシステム、4.教師が締め切りを管理し学生の進捗状況を確認するサーバシステムの4つのシステムで構成されている。しかし、実践中にアプリケーションが落ちるとそれまでのデータが消えてしまうバグと、教師用サーバに送信できない場合があるというバグが見つかった。そのため、実践は教員が端末を預かりデータをプリントアウトして配布するという方法で切り抜けざるを得ない状況であった。このバグは重大であり、当初予定していたシステムの一部しか実現できなかったといえる。
脳機能イメージング手法を用いて科学的に聴覚障害者の認知特性を探索する実験は、予算削減のため、fMRI の撮像中に視線計測を同時計測できるシステムの導入が不可能になったため、fMRIのみを用いて結果を抽出する実験デザインを行った。コントロール群として健聴者を対象に、社会的シグナルの脳内処理機構を探る為の実験を実施したが、実験設計に改善の余地が見受けられたため、再設計を行う必要が生じた。
これらのことから、上記のように達成度を評価した。

今後の研究の推進方策

Peer Reviewシステムを用いた社会的コミュニケーション能力向上システムの開発では、学生が作業中であっても、システムが自動的に逐次アプリ内にデータを保存できるものとする。今後は、単にバグを改善するだけではなく、アプリのインタフェースを改善すると同時に教師用管理システムのインタフェースも改善するなど、オリジナルのシステム開発を継続して行う。
聴覚障害者の社会的シグナルの脳内処理機構に関しては、実験の再設計を行い、次年度に健聴者を対象として改めて予備実験を実施する。その結果を踏まえて、実験デザインの確認を行う。
社会認知機能に関する無意識的処理と意識的処理に関する実験についてはデータの解析を進める。

次年度の研究費の使用計画

予備実験の結果、実験の再設計を行う必要が生じたため、次年度使用額(2,460千円)が生じた。
これについては、翌年度の研究費と合わせて、タブレット端末用の視線計測機器などの購入に充てる。

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公開日: 2015-05-28  

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