研究課題/領域番号 |
24300282
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
伊東 幸宏 静岡大学, 法人本部, 学長 (20193526)
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研究分担者 |
小西 達裕 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (30234800)
小暮 悟 静岡大学, 情報学研究科, 講師 (40359758)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学習支援システム / プログラミング教育 / アルゴリズム教育 / 教師支援システム / 自動評価 |
研究実績の概要 |
[26-1] 具体的データに対する処理手順を学習する環境(アルゴリズム再現場)の開発:初級から中級のアルゴリズム・プログラミング教育で学習対象となるアルゴリズム全般に利用できるように再構築した。H26は連結リストや木などの動的データ構造の処理を扱える機能を開発した。 [26-2] 具体的操作手順の一般的な意味を捉えさせる環境(操作群グループ化場)を用いた実践研究:昨年までに開発した学習環境を用いて大学におけるアルゴリズム教育の授業実践を行い、その学習効果を実験的に評価し、肯定的な結果を得た。成果は教育システム情報学会全国大会および国際会議ICCE2014(査読付き、フルペーパー)にて発表した。 [26-3]学習状況データの収集・自動分析を行う教師支援ツールの開発について:データ分析結果を表示する教師支援システムの実装を行った。機能としては、各学生の進捗度など、教師に有用なデータをリアルタイムで分析し、表示することができる。また収集したデータをプログラミング演習における机間巡視に活用する機能を設計し、一部を実装した。成果は国際会議ICCE2014(査読付き、ショートペーパー)にて発表した。また国際ジャーナルResearch and Practice in Technology Enhanced Learning (RPTEL)に採録された(掲載はH27年度の予定)。 [26-4}教師に対してオープンな教材アーキテクチャ及び教材DBの開発について:標準プログラムと表示方法を指定するルールをユーザ(教師)から受け取り、再現対象であるアルゴリズムの実行トレースデータをもとにデータ構造の値の変化を教師の指定に基づいて視覚化する機能を実現した。またこのシステムを高校生向けプログラミング講習会で活用した。成果は教育システム情報学会全国大会にて発表し、大会奨励賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究項目としては計画に記した各項目を現在まで順調に進めており、さらに本研究で開発したプログラミング・アルゴリズム学習支援システムを当初の予定よりも早く教育現場におけるプログラミング教育の実践に活用することができた(研究実績[26-2]を参照)。この成果は国際会議International Conference on Computers in Education 2014(ICCE2014)にてフルペーパーとして採択されたが、同会議でフルペーパーとして採択されるのは投稿数の20%程度であり、高い評価を得たといえる。さらに同研究は国際ジャーナルResearch and Practice in Technology Enhanced Learning (RPTEL) から投稿を勧められ、その結果現在条件付き採録の査読中である。 成果[26-3]は同じく国際ジャーナル(RPTEL)に論文として投稿し、フルペーパーとして採択されている(掲載はH27年度の予定)。 また成果[26-4]は教育システム情報学会全国大会にて奨励賞を受賞しており、受賞数は5件のみであることから、これも高い評価を得たといえる。 以上の通り、教育実践への活用が予定以上に行われている点、また対外発表が高い評価を得ている点から、現在までの達成度は①当初の計画以上に進展していると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で示した各項目につき、今後の研究の推進方策を述べる。 [26-1] 具体的データに対する処理手順を学習する環境(アルゴリズム再現場)の開発:この成果は[26-2]および[26-4]と組み合わせ、開発したシステムを実践的に活用する上で必要となるアルゴリズムについて対応できるように表現能力を向上させる。ただしこれまでに一定のバリエーションを実現しているため、現時点では明らかに拡張が必要な項目はない。 [26-2] 具体的操作手順の一般的な意味を捉えさせる環境(操作群グループ化場)を用いた実践研究:昨年度までに行ったアルゴリズム教育の授業実践を継続し、昨年度の経験からいくつかの改善を施した上で再度実践を進め、改善の効果を実験的に評価する。また可能であれば、対象校を拡げて同様の実践を行い、開発したシステムおよびこれを用いた教育方法の汎用性を評価したい。 [26-3]学習状況データの収集・自動分析を行う教師支援ツールの開発について:上述のように、収集したデータをプログラミング演習における机間巡視に活用する機能を設計し、一部を実装したので、本年度は実践的使用に必要な残りの機能を実装し、これを教育現場もしくは模擬授業にて利用して教育支援効果を評価する予定である。 [26-4}教師に対してオープンな教材アーキテクチャ及び教材DBの開発について:開発したシステムは前年度と同様に高校生向けプログラミング講座に使用するとともに、社会人向けのプログラミング教室でも使用すべく準備を進めている。これまでの実践が主にプログラミング初学者を対象とするものであったのに対し、この実践は職業的にプログラミングを行う層に対するものであり、開発したシステムの汎用性を評価できるものと考えている。
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