研究概要 |
本研究では,創造的思考の礎としてのメタ思考能力を育成する教育メソッドの開発・共有・洗練の情報基盤をオントロジーを基礎にして構築することを目的としている.このために本年度は,(1)潜在的なメタ思考の概念をオントロジー工学的手法により峻別することでのメタ思考オントロジーの構築に着手した.また,(2)自分の思考に閉じこもらず自らの思考を他者視点から相対的に捉える能力を培うため,共同思考の振り返りにより自己内思考の吟味を促すメタ思考学習支援ツールの開発に取り組んだ.さらに,(3)大学初年次生を対象として,メタ思考能力を育成する教育メソッドを開発し,実践するとともに議論鑑賞課題を与えることにより有用性を評価した. この結果,(1)で構築したオントロジーに基づいてメタ思考の表出化と同型性の理解に基づいた自己内対話への内面化を促進することで,メタ認知的気づきが促進され,他者のメタ思考についての推察活動が活性化されることが示唆された. (2)については,以下の2点の課題【課題1】自己内対話は潜在的であり,表現の基礎になる概念体系の欠如が,メタ思考に関する知の交流を本質的に難しくしている,【課題2】他者の内的思考は観察できない.共同思考でメタ思考的発言が表出化されても,メタ思考実施の暗黙的ノウハウの内面化を難しくしている,の解決を支援することを目的とし,以下の(a)~(c)の3つの知的機能の実現に取り組んだ.(a)意見の「発現」「修正」「撤回」「棄却」のイベントに着目した共同思考の再構成過程の可視化機能,(b)共同思考の振り返り過程で参加者の自己内でなされた潜在的メタ思考内容をオントロジーに基づいて対話的に分析する機能,(c)自己内対話との差異分析機能.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタ思考能力育成のための教育プログラムを設計し,実践することで,本年度の教育目標が概ね達成されるとともに,今後取り組むべき課題が明確になったこと.また,ツール開発についても計画通りに概ね進んでいると考えられることより,上記の区分とした.
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