研究課題/領域番号 |
24300289
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
宮川 裕之 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (10157597)
|
研究分担者 |
齋藤 裕 青山学院大学, 情報科学研究センター, 助教 (10316888)
加藤 浩 放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 教授 (80332146)
合田 美子 熊本大学, 大学教育機能開発総合研究センター, 准教授 (00433706)
松田 岳士 島根大学, 教育開発センター, 准教授 (90406835)
山田 政寛 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (10466831)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | eラーニング / メンタリング |
研究概要 |
本研究課題のうち、本年度は「学習者の自己調整レベルの測定」と,「デジタルストーリーテリングによるモデリング」の研究が進展した. そのうち,自己調整レベル測定は,本研究の研究者グループが先行研究として開発したeラーニングの自己調整学習尺度を用いて,次の観点からの分析・学習者モデル形成を進めた. 1)アンケート結果を学習時間帯の一貫性に注目して分析した.その結果,常に一日の同じ時間帯に学ぶ者は,援助要請を肯定的に捉え,自発的に学ぶ傾向があるのに対して,学習時間帯が定まっていない者は,それぞれ反対の傾向が明らかになった(松田ほか2012)。本年度末には締め切り直前に駆け込み受講する学習者の特性分析に取りかかった. 2)抽出された4因子(情意学習方略,認知学習方略,援助要請,独立性)の因子得点と課題完了率,最終テストスコアの関係について分析した.その結果,独立性と情意学習方略は他因子の影響を受け,課題完了率と最終テストスコアに影響を与えることが示された(山田ほか2012). 3)援助要請のタイプ分けは,モデリングの研究としても進められた.援助要請行動は,質問の必要性と援助を要請した対象から,4タイプ(1.必要性なし,2.必要性あり,援助要請(フォーマル:教員や学習支援者に質問),3.必要性あり,援助要請(その他:友人等に質問),4.必要性あり,要請なし)に分類された.またタイプ3に分類された学習者が完了率・満足度共に一番高い平均値を示した(Goda et al.2012,合田ほか2012). さらに、自己調整のレベルをモデル化し、ノービスからエキスパートまで数段階に分類するシステムの仕様について検討したが、平成25年度に計画しているフェーディング方法を提示する機能などとの連携が深く,単独での開発は難しいと判断、フェーディングング支援機能の一部について先行して仕様の検討を合わせて行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の中心的研究テーマと位置づけられていた,学習者の自己調整レベル測定に関しては,学習者が自己調整方略をどの時点で使用しているかを明らかにするという目的に沿って,主に時間調整方略と援助要請方略について知見を得ることができた.また,デジタルストーリーテリングによるモデリングについては,モデリング効果に関する研究が先行し,フォーマルな援助よりもインフォーマルな援助の方が効果的であるとの示唆を得た.また,当初予定していた機能開発に取り組みことが研究の結果難しことがわかったため,次年度予定していた連携する機能に関する仕様の検討を先行して行った.これにより,期間全体の進捗に遅れはなく,おおむね順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,既に着手した二つの研究テーマに関する研究を深めることに加えて,そこから得られた知見を基に「学習者の自己調整レベルに応じたフェーディング」および「eメンタおよび学習支援システムの開発・評価」の研究にも取り組む.その際,デジタルストーリーテリングのコンテンツ作成になお時間を要することを考慮し,申請書において対応策としてあげていた通り,最終的に開発するシステムのうち自己調整レベル測定機能を先んじて開発することも検討する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究では,教育工学,情報工学,教育心理学,コミュニケーション学と様々な視点から調査を行い,データを分析し,実証実験,開発を経て研究成果を出していく.平成24年度までの研究成果を踏まえ,平成25年度は「学習者の自己調整レベルに応じたフェーディング」および「eメンタおよび学習支援システムの開発・評価」を行う.その経費については次のとおりとなる. 1)学習支援システムについて,具体的には,平成24年度に仕様を検討した,自己調整のレベルをモデル化し,ノービスからエキスパートまで数段階に分類するシステムの仕様について検討したが,平成25年度に計画しているフェーディング方法を提示する機能などを開発する.開発の一部が専門企業に開発を依頼するため,費目「その他」での支出を予定している. 2)システム開発のため必要なハードウェア・ソフトウェアならびに各ソフトウェア・ハードウェアのメンテナンス製品が必要となる.これらについて物品費での支出を予定している. 3)フェーディングに関する研究などの実践評価には,被験者として500名以上の学生,20名程度のメンタが半期または1年間参加するため,データ量が膨大となり,収集した質問紙データ等の入力を実施する研究補助要員が必要となる.それら作業のための経費が発生する.これについては「人件費・謝金」からの支出を予定している.4)さらに最新のeラーニングの学習支援に関する研究成果なども随時改善に取り入れるための調査や,研究成果の論文・国内学会発表ならびに研究遂行のための打ち合わせ等も度々行われるため,会議費や研究発表に関係する旅費なども必要となる.
|