研究課題/領域番号 |
24300291
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
赤倉 貴子 東京理科大学, 工学部, 教授 (80212398)
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研究分担者 |
古田 壮宏 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (60453825)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教育工学 / e-ラーニング / ピアレビュー / 授業評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、教室講義をビデオ撮影し、それを教員間でピアレビューするためのシステム開発である。研究の独創性は、評価項目の項目バンク(アイテムバンク)を持ち、ビデオを再生しながらピアレビューを行う際に、(1)講義内容に適応した評価項目を自動抽出・提示できること、(2)評価が低かった講義部分(時間)を自動抽出して、講義者たる教師へ評価をその講義映像とともにフィードバックできること、である。 ピアレビュー項目の作成、講義ビデオを視聴した学習者による授業評価データに基づく講義のカテゴライズは終了しているので、26年度は、講義ビデオに時系列に付与する属性値に、講義のカテゴリ内容に応じた評価項目を項目バンクから自動抽出して提示するシステムの構築に取り組んだ。特に、教師の発話行動を全てテキスト化し、発話行動が授業評価に及ぼす影響についての分析を進めた。これまでは教師の発話以外の教授行動、例えば、黒板への板書行動、身振り手振りといった動作と授業評価の関係の分析を進めてきたが、さらに発話をテキスト化したことで、発話行動+(発話以外の)教授行動の授業評価への影響を明らかにすることができた。また、授業評価で低評価であった講義部分を自動抽出する機能も構築した。しかし、それを講義者たる教師に対してどのようにフィードバックすると最も効果的に次の授業につなげられるかについては、その可視化の方法なども含めて現在検討中であり、これを完成させることが平成27年度の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画で掲げたことは、研究実績の概要で述べたように、教室講義をビデオ撮影し、それを教員間でピアレビューするためのシステム開発であるが、その独創性は、評価項目の項目バンク(アイテムバンク)を持ち、ビデオを再生しながらピアレビューを行うピアレビューシステム際に、(1)講義内容に適応した評価項目を自動抽出・提示できること、(2)評価が低かった講義部分(時間)を自動抽出して、講義者たる教師へ評価をその講義映像とともにフィードバックできることである。(1)は完成し、(2)についても低評価部分(時間)を自動抽出するところまでは完成しており、あとは教師への効果的なフィードバック方法が完成すれば、本研究の当初の目的は全て実現する。したがって、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、本研究の最終年度である。したがって、研究を完成させる必要があるが、研究全体としては、80%以上達成していると考えている。達成度の項で述べたように、システムはほぼ完成しているが、教師への効果的フィードバック方法については、検討中である。「どのようなタイミングで」「どのような形(方法)で」他の教師による評価のフィードバックを行えば、教師がそれを受け入れて、自分の授業の改善につなげようと考えるかについて、可視化方法も含めて27年度前半には完成させる予定である。 平成27年度後半には、実際にさまざまな講義に適用し講義者たる教師へのフィードバックを行い、教師の感想(本システムの意義、使い易さ、改善点など)を収集したい。そして、それをさらに来年度以降に実施を計画している研究(講義内容、発話による内容説明、発話以外の教授行動の3つを要因とした組合せ最適化)につなげていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
156,658円の繰越金が発生したが、これは、発注予定であったソフトウエアが新バージョンとなって4月以降に発売される見込みであることがわかったため、それまで発注を見合わせることにしたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
ソフトウエアの新バージョンが発売され次第、発注する予定で、それ以外は、当初の計画どおり執行する予定である。
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