研究課題/領域番号 |
24300292
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
野嶋 栄一郎 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20000086)
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研究分担者 |
山本 裕子 (木全 裕子) 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (90547902)
刑部 育子 お茶の水女子大学, その他部局等, 准教授 (20306450)
植村 朋弘 多摩美術大学, 造形表現学部, 教授 (50328027)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 北条小学校 / 学年会 / 実行委員会 / 循環型教育システム / edu-C / 授業研究 / 動画アノテーション / ソーシャルメディア |
研究概要 |
本研究は,北条小学校で実践されてきたカリキュラム管理室を中心とする循環型教育システムをソーシャルメディア上に展開することで,これまで他校への展開が困難であった本校のシステムをさらに広いフィールドで活用することを通じ,その形成過程を分析し,教員養成の場をソーシャルメディア上に提供することを目的としている. 本年度は,以下の研究を実施した. ①北条小学校の循環型教育システムについての分析を行うため,各種会議体の収録および授業の収録を行い,分析を進めてきたが,本年度は特に学年会と実行委員会について集中的に収録を行った.実行委員会は1年生から6年生にわたり各学年のすべての児童が何らかの形で学校組織の運営に関わる委員会の責任者の役割を経験するシステムであるが,これが統合学習のあ潜在的カリキュラムとして機能している実行委員会については,卒業式第二という児童が中心となって行うイベントを中心に収録,分析を行った. ②昨年度までに開発した動画アノテーションツールedu-Cを使って,授業研を代替できるかどうかという実証実験を行い,日本教育工学会の全国大会で発表した.ソーシャルメディア上への展開の前段階として,複数の学校間で動画を共有し,アノテーションを行うことで,これまでの研究授業とどのような違いがでるかについて,複数の地域の教員にインタビューを行った. さらに,インタビューから,リアルタイムな授業研との連動の必要性を見出し,授業研に参加している教員が撮影した静止画もアノテーションと同様に連動させることができる機能をあらたに開発し,実装した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,edu-Cを使った授業研究の実証実験を行うことにより,アノテーションの有無による動画活用方法の差異や,一般的な授業研究との質的な違いについて調査・分析を行った.実証実験の結果,一般的な授業研究で観察者は授業中に撮影した写真を協議会や協議会後に活用いることに着目し,授業中に撮影した写真をアノテーションと連動できる機能をedu-Cに実装した.これにより,さらに質の高い授業研究が可能となる. 一方,小学校1年生を中心とした学年会の記録を連続5週にわたって記録した.このプロセスをもとにして,循環型教育モデルに照らした学年会の分析を今後行うことができる. 卒業式第二部の作成に関する実行委員会の進行過程における会議記録の収録ならびに卒業式第二部自体の映像記録を収録できた.これにより,実行委員会と統合学習の関連分析に着手できる.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,循環型教育システムの分析とedu-Cを使った実証実験をすすめ,北条小学校で実践されている教育システムをソーシャルメディア上に展開することが可能であるということを示したい. 循環型教育システムの分析においては,社会的文脈の中での学力を意図して開発された「統合学習」をedu-CないしCAVSを活用した授業分析を行う.統合学習は「マイプランタイム」「卒業式第二部」を対象とする.また,それに伴う実行委員会についても収録をし,分析を進め,結果をまとめる. 毎週金曜日に実施される「学年会」の収録と分析をedu-CないしCAVSを活用して行い,これまでの記録とともに分析を行い,学年会での活動が教員養成にどのような影響を与えるかについてあきらかにするため,学年主任および新任教員にインタビューを行い,結果をまとめる. 北条小学校の統合学習,社会科,算数科の3教科の授業研において,新たな機能を実装したedu-Cを活用して実証実験を行う.実証実験は,北条小学校の教員や協力委員と呼ばれる外部講師に参加してもらい,インタビューを通して評価を行い,一般的な授業研究と同程度の機能を有することを示し,さらに質的な相違についてあきらかにする. また,カリキュラム管理室のデジタル化を行う.これまで紙ベースでしか存在しなかった授業案や教材をデジタル化し,うち一部は外部に公開し,edu-Cと連動できるようにしたうえで,ソーシャルメディア上に展開する. なお,研究成果として論文化,国内外での発表を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,海外での発表を予定したが,体調不良等の影響で,海外旅費を使えなかったことが原因である. 国内外の発表の旅費として活用する予定である. また,平成26年度より研究補助者として研究に参加していた金森紀博が,学習ソフトウェア情報研究センターの研究員に着任したため,研究分担者として加え,研究費を配分する予定である.
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