研究課題/領域番号 |
24300299
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川崎 了 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00304022)
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研究分担者 |
廣吉 直樹 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50250486)
畠 俊郎 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30435424)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自己修復 / 保存材料 / 環境保全 / 微生物 |
研究概要 |
本研究の目的は,これまでに研究代表者らが開発してきた微生物機能により固化する保存材料の高度化を行い,自己修復機能を持つ環境保全型のカルシウム系保存材料を新たに開発することである。2年目となる平成25年度は,(1)保存材料の室内析出・固化試験,(2)保存材料を用いた供試体の作製,(3)保存材料を用いた供試体の力学特性の評価,を実施した。得られた主な成果の概要は,以下に示すとおりである。 (1)保存材料の室内析出・固化試験:リン酸カルシウム化合物と微生物を組み合わせた保存材料を用いて,その配合が異なる室内析出・固化試験を実施した。なお,試験時に注目したリン酸カルシウム化合物の特徴は,その溶解度のpH依存性と自己硬化性である。その結果,pHの値が中性から弱アルカリ性の領域においてリン酸カルシウム化合物の析出・固化が顕著になること,また,ゲル化した白色のリン酸カルシウム化合物は時間の経過に伴って結晶化が進むこと,などに関して,定量的に明らかとなった。 (2)保存材料を用いた供試体の作製:上記(1)の結果を踏まえ,対象とした砂質土の土粒子間にリン酸カルシウム化合物を析出・固化させる方法によって保存材料を使用した供試体を作製した。また,作製した供試体において析出・固化した保存材料であるリン酸カルシウム化合物の結晶の形態および分布状況などを微視的に検討するため,平成24年度に導入した低真空対応可能な卓上型電子顕微鏡(SEM)による観察を実施した。その結果,供試体内部の間隙中にウィスカー状のリン酸カルシウム化合物の結晶を確認した。 (3)保存材料を用いた供試体の力学特性の評価:保存材料を使用した砂質土の供試体を用いて,室内で力学試験を実施した。その結果,保存材料による処理後の供試体の力学特性を処理前の力学特性と比較することにより,開発した保存材料による効果について確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目である平成25年度の研究の目的,実施計画,経費などの策定が適切であったこと,また,期待された研究成果がおおむね順調に得られたこと,さらに,研究代表者および研究分担者に健康上の問題が発生しなかったことなどが,主な理由として考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
3年目の最終年度となる平成26年度は,平成24~25年度において実施した以下の研究項目(1)~(3)の深化を図ると同時に,さらに続く研究項目(4)について研究を進める。そして,3年間の研究成果をまとめて報告書を作成し,本研究課題を終了する。 (1)保存材料の室内析出・固化試験 (2)保存材料を用いた供試体の作製 (3)保存材料を用いた供試体の力学特性の評価 (4)保存材料の有効性に関する評価
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究経費を節約することに努めたため。 平成26年度の研究費と合わせて有効に活用することを計画している。具体的には,試験のケース数や供試体の本数を増やす,あるいは,研究成果の発表回数を増やす,などを予定している。
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