研究課題
青銅に含まれる錫が10%以上になると室温での加工が困難になるため、これを一般に高錫青銅と称する。さらに、錫の含有量が15%を超え、25%以下のものは、熱間加工で成形され、その後、室温における高い靭性を得るために、焼入れ熱処理が施されるというユニークな特徴をもつ。我々はこれを「熱処理型高錫青銅」と呼ぶことを提唱している。これはアジアでのみ盛行し、日本にも「佐波理」として古墳時代には伝来している。現在のところ、インドで最古のものが確認されており、起源地である可能性が高い。本研究においては、インダス文明青銅器を多数分析し、その器種、合金種、製作方法のデータを基軸として、① 起源地の特定、② 製作技術の伝播経路解明、③ 盛行と衰退の理由の解明に取り組んだ。これまで、Gilund、Farmana、Kuntasi、Mitathal、Inamgaon、Nevasa、Mahrujahari、Raipur、Naikund、Borgaon、Nagarwadiといった遺跡から出土した金属器の分析、金属組織観察を行い、240点余りのデータを得ている。熱処理型高錫青銅が登場するのはインドのメガリス期における以降であることを確認している。平成28年度はメガリス期の代表的遺跡であるMahrjahari遺跡周辺の遺跡、Dhamna、Kayar、Tharsa、Vyahad、Shirkandaといった遺跡の資料をナーグプル大学との共同研究として取得し、分析を進めた。一方、タイには紀元前から続く高錫青銅製作の歴史があり、タイの出土資料も調査しながら、インドとタイの関係についても考察を行っている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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