研究課題/領域番号 |
24300303
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山本 晴彦 山口大学, 農学部, 教授 (40263800)
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研究分担者 |
荊木 康臣 山口大学, 農学部, 教授 (50242160)
高山 成 大阪工業大学, 工学部, 講師 (40403373)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 世界遺産 / 紀伊山地 / 参詣道 / 風水害 / 遺産 / モニタリング |
研究概要 |
本年度は、「① 人工衛星データと現地踏査等による参詣道の被害解明」では、初年度で得られた衛星データ・空中写真による解析結果に基づいて参詣道の被害解明を実施した。「② 気象観測モニタリングポイントの設置・運用によるリアルタイム気象解析」では、初年度末に本格稼動した気象観測システムから得られるデータ基づいて、リアルタイム気象解析を行い、多雨地域における降水特性を明らかにした。「③ 長期間・高密度データセットの作成による豪雨解析」では、初年度に引き続き雨量観測データの入力を行い、1929年~1975年までの長期間データセットの完成、さらには1976年以降のアメダスデータと統合し、紀伊山地80年間雨量データセットを完成させた。データセットに基づき、紀伊山地で発生した豪雨の解析を試み、その特徴を類型的に分類し、豪雨災害の予知・予測に役立てるシステムを開発した。「④ 林床画像や分光測定による世界遺産「参詣道」の劣化、被害回復の調査・解析」では、初年度の現地踏査による参詣道の遺産劣化調査・解析に基づき、引き続き、現地踏査(和歌山県内を重点的に実施)による遺産被害回復の調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度において、「① 人工衛星データと現地踏査等による参詣道の被害解明」、「② 気象観測モニタリングポイントの設置・運用によるリアルタイム気象解析」、「③ 長期間・高密度データセットの作成による豪雨解析」、「④ 林床画像や分光測定による世界遺産「参詣道」の劣化、被害回復の調査・解析」の各項目で掲げた目標を達成している。このことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の平成26年度は、「③ 長期間・高密度データセットの作成による豪雨解析」において、平成25年度に完成した「紀伊山地80年間雨量データセット」を、Web上で配信・閲覧できる気象サイトの構築を行う。研究協力者等への活用により、改良箇所の指摘に基づいて最終版を完成させ、風水害の予知・予測に役立つサイト配信を行う。 「④林床画像や分光測定による世界遺産「参詣道」の劣化、被害回復の調査・解析」では、平成25年度に実施した現地踏査による遺産被害回復の調査・解析を引き続き実施し、劣化、被害回復の調査・解析の最終的な取り纏めを行う。得られた研究成果は総合的に分析し、甚大な風水害を受けた「紀伊山地の霊場と参詣道」の持続的保全と風水害の遺産劣化の回避の取り組みを地域と協働で実施する。平成27年3月には、本研究の成果を書籍ににまとめ、『観光客の増大と風水害による世界遺産に劣化と保全-紀伊山地の霊場と参詣道を事例として-』の出版を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
山口大学が設置している「熊野那智気象観測モニタリング」のシステムについて、メンテナンス、故障計器費用が生じなかったこと、研究成果の論文掲載が翌年度にずれこんだこと、被災後の植生回復を検出するためのリモートセンシング画像の購入を翌年度に繰り越したため、次年度使用額が生じた。 「熊野那智気象観測モニタリング」のシステムについては、3年目になるため、メンテナンス、故障計器費用が生じる。研究成果の論文掲載が生じるため掲載費用、カラーページ代が発生する。被災後の植生回復を検出するためのリモートセンシング画像の購入を行う。
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