研究概要 |
本年度は,俯瞰的・総合的な意味を有する学術資源の情報集合「学術資源群」の定義および形成手法と非文献資料のための汎用的なリポジトリ環境の確立に必要な基礎的技術検討として,次の3つの項目の研究開発を行った. 1.学術資源群の形成:大学の資料館所蔵の歴史的・文化的な学術資料のうち,従来から歴史的調査が進んでいる資料(旧制高校由来のムラージュ標本,科学実験機器資料,教育用掛図等)に対して,既存モデル等を適用し,従来の非文献資料自体が持つ情報での整理・分類に加え,符号的,物理的あるいは履歴的な属性を非文献資料に対する多様かつ豊富な背景知識を加え学問的に分類する手法の検討を行った.また,同手法の検討および検証には,ある程度の資料点数が必要であることから,科学実験機器等の学術資料のデジタル化を実施した. 2.メタデータの設計:申請者らが金沢大学資料館に保管する旧制高等学校科学実験機器資料を対象として設計したDC (Dublin Core)ベースのメタデータの他,国際的に標準化されたメタデータモデルを,1.で整理した非文献資料に適応し,博物館・資料館での管理・運用や一般利用・研究利用を想定し検証を行った.その結果,LIDO (Lightweight Information Describing Objects)をベースに汎用的な非文献資料のためのメタデータモデルの設計を行うこととし,概要設計を行った. 3.プラットフォームの開発:大学関係の博物館・資料館関係者,当該非文献資料を取り扱う研究者にヒアリングを実施し,必須機能・拡張機能の選定,検索等のシナリオを作成し,シミュレーションを行った.その結果から,ベースとなるプラットフォームをNII開発のWEKOと決定し,改修および機能拡張のための基本設計を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前調査結果にはなかった歴史的資料の発見による再調査等があり,資料のデジタル化で,やや遅れた面があるが,メタデータの設計およびプラットフォームの開発は,順調に進展しており,計画通りの成果を出すことができたため,全体的にみると概ね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の実施を見送った一部資料のデジタル化については,次年度計画分と合わせて実施する,学術資源群の形成,メタデータの設計およびプラットフォームの開発に関しては,今年度の研究成果を発展させ,計画通りに研究開発を進める予定である.
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