研究課題/領域番号 |
24300311
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
先山 徹 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (20244692)
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研究分担者 |
松原 典孝 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 特任助教 (80597336)
三田村 宗樹 大阪市立大学, 理学部, 教授 (00183632)
井口 博夫 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (40112073)
高野 温子 兵庫県立人と自然の博物館, 博物館, 主任研究員 (20344385)
赤澤 宏樹 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (30301807)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ジオパーク / 博物館 / 地球科学 / 科学教育 / 地域づくり / 生涯学習 |
研究概要 |
この研究は山陰海岸ジオパークを中心に、「地質遺産と暮らしを結ぶストーリーの構築」の基礎的研究を行い、それをベースに「学習プログラムを開発」し、その実践を通して施設の活性化と「博物館施設および活動グループ間の連携」を促すことを目的とする。 地質遺産と暮らしを結ぶストーリーの基礎的研究のうち、地質分野では従来湖成層と考えられていたこの地域の地層が河川堆積物であること、「漣痕」として県の天然記念物に指定されていたものが、そうではなく「流痕」であることを明らかにした。また植物に関する基礎的研究としては山陰海岸に特有のタジマタムラソウの形態と地理的分布を検討した結果、タジマタムラソウに両性花と雄蕊に花粉の存在しないものが存在することが明らかになった。これらは山陰海岸ジオパークにおける自然の価値を高め、地域ブランド化につながる成果である。 学習プログラムの開発の一環として、山陰海岸において計25回のセミナーを実施した。その過程で発見した火山灰露頭を受講者がはぎ取り、兵庫県立人と自然の博物館で展示した。このようなセミナー受講から実技を通じ、さらに作品を展示するまでの一連の作業を一つの教材ととらえることができる。 博物館施設および活動グループ間の連携を促す活動としては、展示とセミナーを地域の人たちとともに作り上げていく「ジオキャラバン」を山陰海岸内の各地で3回実施した。それに加えて研究者と地域の人たちとの交流を図る目的で「ジオ談会」を発足させ、第1回の研究会を実施した。 このように基礎的研究をもとに教育活動を進め、それらを地域や施設の人たちとともに実施していくことが地域の活性化の中で示す博物館の役割と考えられ、24年度はその基本的流れを作り上げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「地質遺産と暮らしを結ぶストーリーの構築」については地質層序の見直しが進みつつある。「学習プログラムの開発」については、セミナーの実施件数は予定より多く、地層のはぎ取りなどが実施できた。「博物館施設および活動グループ間の連携」についてはキャラバンを3回と談話会を1回実施し、次年度以降の定期的開催につなぐことができている。また他地域のジオパークについては5地域を視察し、ほぼ予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
地質に関しては、さらに古地磁気学的データを増加させるとともに、今後他大学の研究者とも協力してフィッショントラック年代測定を進めていく。学習プログラムと地域連携については、現状の各プログラムを継続させ、さらに談話会の定常化を進め、各研究成果を地域に還元する場を増加させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は学会等がすべて国内であったこと、各地ジオパークへの視察5回のうち2回はジオパーク大会と重ねて実施したこと、談話会が1回のみだったことにより、年度当初の想定より旅費の執行は少なかった。25年度は韓国でアジア太平洋ジオパーク大会の開催が決まっていること、視察をジオパークの大会とは別に行った方がより有効であること、談話会を定例化していくことなどから、25年度は24年度助成金残額と合わせて経費を執行していく。
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