研究課題
本年度は,①ディスドロメータによる雨滴粒径観測,②東京都心における強雨と環境場,③首都圏の気温分布と気圧分布との関係について研究を進展させた。①東京都区部と郊外域および仙台市に設置した5台のディスドロメータによる雨滴粒径観測を継続し,これまでの観測結果をデータベース化した。地域や季節,擾乱などによる差異とともに,対流雲の盛衰に対応した雨滴粒径スペクトルの時間変化が解析可能な程度にデータの蓄積が進んだ。都区部の降水強度と雨滴粒径との関係を解析し,一般的に降水強度に比例して雨滴数が多くなるが,弱い降水であっても雨滴数が多くなる場合のあること,月降水量に寄与が大きい雨滴粒径は季節によって異なることなどが示された。仙台市においては集中豪雨の典型例として,平成27年9月関東・東北豪雨(2015年9月10-11日)における時間降水量50mmの強雨事例が捉えられた。②東京・埼玉を中心とする空間的に稠密な夏季20年間の時間降水量資料を用いて,局地的強雨の時刻別発現頻度を解析し,都区部西部では午後(16時頃)と夜半前(22時頃)に顕著な頻度の極大が認められた。その要因として,内陸から吹走する北風と日中に侵入する東風の収束機会が昼過ぎと夜の始めにあることが示唆された。また,強雨域が都心部に孤立して発現する場合,都心部に南寄りおよび東寄りの風の収束域が存在するが,なかでも関東平野における気温および日照時間の南北差が大きい事例の増加傾向が認められ,都心の強雨発現と南関東の高温に関わる総観場の経年変化を考える必要性が示された。③首都圏高密度気象観測網(広域METROS)による気温と気圧の観測データに主成分分析を適用した結果、両者の第2成分に都心部を中心とするパターンが抽出され、両者のコンポジット解析から都心部の高温域形成(ヒートアイランド)に伴って都心部内外で気圧が低下することが明らかになった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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東京学芸大学紀要人文社会科学系Ⅱ
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地理学評論
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10.2134/jeq2015.01.0049