研究課題/領域番号 |
24300322
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中林 一樹 明治大学, 政治経済学研究科, 特任教授 (80094275)
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研究分担者 |
青山 やすし 明治大学, ガバナンス研究科, 教授 (50386421)
石川 永子 公益財団法人兵庫震災記念21世紀機構, 主任研究員 (00551235)
市川 宏雄 明治大学, 政治経済学部, 教授 (80298041)
佐々木 一如 明治大学, ガバナンス研究科, 講師 (90559832)
中林 啓修 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (90398644)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 災害復興 / 復興計画 / 復興過程 / 生活再建 / 復興感 / 住宅再建 / 地域復興 / 経済復興 |
研究概要 |
本研究は、東日本大震災の被災自治体を研究対象に、津波被災地域の復興過程を整理するとともに、被災者の住まい・暮らし・仕事など生活復興の達成度とその自己評価「生活復興感」を計測し、被災者の生活復興と地域復興との関連分析を通して、人口減少時代の災害復興のあり方を考察することを目的とする。 平成24年度(初年度)は、南三陸町、新地町における震災から1年目の復興過程を関係者へのヒアリングを通して整理した。同時に、大船渡市、気仙沼市、新地町の津波被災地域に居住していた被災者約8,900世帯を対象として2013年3月に、2年目の復興状況に関する郵送アンケート調査(2013年調査)を行った。併行して、本調査に先行して2G12年3月に別途に実施した震災1年目の復興感に関するアンケート調査(2012年調査)で回収していた2,698票について、本研究費を活用して集計・分析し、1年目の生活復興の状況を考察した。 アンケート調査にみる1年目の復興状況は以下である。り災証明では自宅の全壊が65%、大規模半壊・半壊が15%で、1年後に元の市町で生活が86%に対し、県内他市町・県外で生活が10%強と被災者が被災地を離れている。住まいは応急仮設住宅30%、見なし仮設住宅16%で、自宅新築は3%に過ぎない。生活全般について1年目の回復状況について「回復せず(20%以下)」29%、「少し回復(30-40%)」27%、「やや回復(50-60%)」22%、「かなり回復(70%以上)」22%で、生活復興の遅れが窺える。この生活復興感を個別項目の復興感を説明変数として重回帰分析すると「買物の便」「医療」「収入」「近所・地域のつながり」「子どもや孫の生活」「通勤・交通の便」「お出かけの便」ではなく、「住宅」「仕事」「食生活」「まち・集落の復興」が有意であった。被災者は「住宅の復興の目処が立たない」「近所がバラバラで話し合いもできない」ことに困惑し、「義援金の給付」「親類、家族、友人の絆」に感謝している。自治体では1年目に復興計画を策定したが、被災者は復興が遅れていると評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被災自治体が業務繁多で、多忙を極めており、自治体としての地域の復興過程に関するヒアリング調査が遅れている。復興過程のヒアリング項目も多大で、南三陸町および新地町では整理を進めたが、他の自治体では充分にできていない。また、2013年3月(被災後2年目)の被災者アンケート調査の実施に当たり、先行の2012年3月調査の回収状況を発送リストに反映させる作業に時間がかかり、被災自治体アンケート調査もできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2013年被災者アンケート調査の集計、分析を進めと同時に、2014年被災者アンケート調査(3年目)の準備を進め、復興感の継続的推移を把握する。平成24年度の研究経過を踏まえ、南三陸町、新地町でのヒアリングとともに、被災自治体における復興過程整理、行政的な復興プロセスの把握を質問紙調査によって把握する。また、現地での復興にともなう地域復興状況の映像による把握を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
東日本大震災が発生した2013年3月11目を基準点に郵送アンケートを行ったため、年度末ぎりぎりまで返送があり、回収作業等委託事業者への支払いが2013年度に繰り込まざるを得なかった。 また、2014年被災者アンケート調査は2014年3月に3年目の復興状況把握として継続するとともに、被災自治体における3年間の復興過程を把握、整理し、自治体による被災状況と復興過程の相違を明らかにするとともに、被災者の生活復興感との関連の考察を進める。
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