研究課題
癌の発生と悪性化に密接に関連する「小胞輸送(ユビキチン依存性小胞輸送系:ESCRT)」の生物学的意義と分子機構の解明に取り組む。具体的には、①遺伝子改変マウスを用いた解析により、ESCRTによる受容体制御の異常が発癌および悪性化を誘導するか?を検討する。また、②細胞株を用いた検討により、炎症やオートファジーに異常を来たし発癌を誘導するか?を調べる。さらに、③炎症の遷延化によって発がんに導くか?を検討する。これらのアプローチにより、ESCRT輸送系を介した発がんと悪性化形質制御の解明を行い、④輸送標的を同定することにより、新規癌治療と予防法開発のための基盤となるデータを収集することを目的とする。平成26年度は以下の実績を得た。①「ESCRT欠損マウスを用いた発癌モデルの解析」ESCRT欠損を臓器特異的に誘導し、発生や他の細胞系列による影響を最小限にして発がんに対する影響を検討する。Hrs肺癌モデルとして、LoxP-Cre-LoxP(LCL)システムによる特異的活性化型EGFR発現と肺腺癌発症モデルを作成しておりES細胞の樹立に成功した。CCSP-CreERマウスと交配することで肺癌を発症するモデル系の構築を行う。ESCRT欠損マウスとして、新規にESCRT-Iに属するVPS37Aに着目し条件付きノックアウトマウスの作成を進めた。②細胞株を用いたHrs機能の解析では、褐色細胞腫株PC12細胞においてHrsをノックダウンしたところ、オートファジーの機能不全が確認された。さらに、細胞株を用いてVPS37Aの機能を明らかにするため、CRISPR/Cas9系を用いた遺伝子欠損細胞株を樹立することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
ESCRT遺伝子欠損マウスおよび発がん誘導マウスを作出しており順調にES細胞を得ている。発がんモデルと遺伝子欠損マウスの準備という点で順調である。
当初計画通り進める。
遺伝子ノックアウトマウスおよび肺癌モデルマウスの作出と交配に時間を要するため
H27年度に交配が進むため当初予定通りに使用する計画である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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