研究課題
癌の発生と悪性化に密接に関連する「小胞輸送(ユビキチン依存性小胞輸送系:ESCRT)」の生物学的意義と分子機構の解明に取り組む。具体的には、①遺伝子改変マウスを用いた解析により、ESCRTによる受容体制御の異常が発癌&と悪性化を誘導するか?を検討する。また、②細胞株を用いた検討により、炎症やオートファジーに異常を来たし発癌を誘導するか?を調べる。さらに、③炎症の誘導や遷延化によって発がんに導くか?を検討する。これらのアプローチにより、ESCRT輸送系を介した発がんと悪性化形質制御の解明を行い、④輸送標的を同定することにより、新規癌治療の予防法開発のための基盤となるデータを収集することを目的とする。 平成27年度は以下の実績を得た。第1にESCRTによる細胞変性と細胞死制御機構を同定した。細胞内異常蛋白質は常に分解され恒常性が維持されており、分解機構の異常は変性に陥る。ESCRTは異常蛋白質のオートファジー分解に必要である。ESCRTの異常は小胞体ストレスにより細胞死を誘導する。この機序として、アポトーシスおよびネクロプトーシスが重要であることを明らかにした。第2に、ESCRT-1分子であるVps37aのノックアウト細胞およびノックアウトマウスを作成した。細胞は見かけ上明らかな異状がなく増殖制御はあっても軽微であることが判明した。ノックアウトマウスは生後観察期間が短いが大きな異常はない。したがって、in vivoにおけるVps37a分子の癌制御は軽度である。今後さらに発がんモデルマウス、特にEGFR変異およびK-ras活性化マウス等と交配して効果を明らかにする必要があると思われる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep.
巻: 6 ページ: 24997
doi: 10.1038/srep24997