研究課題
基盤研究(B)
良性腫瘍と悪性腫瘍との決定的な違いは、後者は高い浸潤性をもつことであり、悪性腫瘍特有の転移は高い浸潤性と相関する。各種腫瘍細胞は3次元(3-D)コラーゲンゲル浸潤アッセイ系において非浸潤性(良性)と自立的・潜在的浸潤性を示す悪性に明瞭に区別され、HGFは潜在的浸潤性細胞に対して強力に浸潤を促す。本研究は、1)自立的3-D浸潤能獲得に至る遺伝子制御機構、2)HGF-Met系に依存した3-Dポジション依存的な浸潤性獲得の動的制御機構、3)がん細胞におけるMet抑制機能の低下や異常を明らかにし、これらの研究によって浸潤性からみた腫瘍悪性化の分子機構の深い理解につなげることを目的としている。(1)肝細胞の培養系を用いて、Met/HGF受容体のjuxtamembrane領域に存在するMet-Ser985のリン酸化は、HGF依存的Met活性化を抑制すること、肝臓の再生をモデルに、Met-Ser985のリン酸化は組織の傷害や再生に呼応して制御され、Met-Ser985のリン酸化はMet活性化と相反的に制御されること、Met-Ser985傷害組織に選択的なMet活性化に関与することを明らかにした。(2)ヒト悪性中皮腫細胞はコラーゲンゲル内培養系において、自立的浸潤性を示すものと示さないものに明確に分かれること、3-D浸潤性の獲得に、MMP-2を含む遺伝子セットの連動的なOFF⇒ONが関与すること、DNAやヒストンのメチル化を介したエピジェネチックな遺伝子発現制御が関与することなどを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
概ね当初の計画にそって研究が進められている。
3-D浸潤性獲得に関与するメカニズムについて、引き続き研究を推進し、がん悪性化阻止に関与する標的分子の同定に迫ることを計画している。
次年度使用額にしたのは、進行中のマイクロアレイ解析などの費用が次年度に発生することなどを予定したものであり、研究の内容が変更されるものではない。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 18件) 学会発表 (7件)
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