研究課題
良性腫瘍と悪性腫瘍の違いは、後者は高い浸潤性をもつことであり、がん転移は高い浸潤性と相関する。腫瘍細胞は3-D浸潤アッセイ系において非浸潤性細胞と自立的/潜在的浸潤性細胞に区別され、HGFは潜在的浸潤性細胞に対して浸潤を促す。本研究は、1)自立的浸潤能獲得に至る遺伝子制御機構、2) HGF-Met系を介した浸潤性獲得の動的制御、3) HGF-Met系を介したがん幹細胞性制御などを明らかにし、浸潤性からみた腫瘍悪性化の分子機構の理解につなげることを目的としている。(1) ヒト悪性中皮腫細胞は、自立的3-D浸潤性を示すものと浸潤性をほとんど示さないものに分かれ、3-D浸潤性の獲得に、MMP-2遺伝子発現のOFF⇒ONが関与すること、MMP-2遺伝子発現はDNAやヒストンのメチル化を介したエピジェネチック制御が関与することを明らかにした。続いて、(2) MMP-2を含む浸潤関連遺伝子セットの発現制御にPRC(Polycomb Repressor Complex)が関与すること、PRC複合体を構成するCBX分子のプロテアソームタンパク質分解異常による機能低下/破綻が、MMP-2を含む浸潤関連遺伝子の発現OFF→ONに関与することを明らかにした。(3) 悪性黒色腫細胞において、細胞表面Met/HGF受容体の発現を解析した結果Met-lowとMet-high populationに分かれ、Met-low→Met-highへの階層的変化があること、両者の遺伝子発現から、Met-lowが幹細胞性を示す一方、Met-highへの変換が転移性獲得に関与することを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
概ね当初の計画にそって研究が進められている。
3-D浸潤性獲得に関与するメカニズムについて、引き続き研究を推進し、がん悪性化阻止に関与する標的分子の同定に迫ることを計画している。
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