本研究では、がん組織の血管を取り巻く環境因子を明確に定義し、血管とがん細胞の相互作用がいかにがんの悪性化に関与するかを明確にすべく研究を実施した。マクロファージの遊走因子の一つとして知られ、また最近がんの悪性化によって発現の亢進するガラクトース結合レクチン-3(Gal-3)に注目して研究を行った。その結果、腫瘍組織から分泌されるGal-3は骨髄からマクロファージを腫瘍内に誘導して腫瘍血管形成を促進することが判明した。また血管内皮細胞に発現するTie1受容体に着目した研究により、Tie1は可溶性型になることでがんの血管新生を抑制し、がんの進展を抑制することが判明した。
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