研究課題/領域番号 |
24300333
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
井上 正宏 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所 生化学部門, 生化学部門長 (総括研究員) (10342990)
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研究分担者 |
奥山 裕照 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所 病理学部門, 総括研究員 (50432373)
遠藤 洋子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所 生化学部門, 研究員 (20359300)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌 / 培養 / 再生 |
研究概要 |
癌は創傷治癒と類似しており、癌細胞集団の構造破壊とそれに伴う再生(破壊・再生連鎖)が癌の進展に関与している可能性がある。最近、我々は患者癌組織から癌細胞を培養する新しい方法を開発した。細胞―細胞間接着を維持したまま無血清・浮遊培養すると、純粋な癌細胞からなる細胞塊(cancer tissue-originated spheroid, CTOS)を調製できる。CTOSは癌細胞集団の三次元的特徴を維持している上に、機械的破壊後に短時間に再生することから、癌細胞集団の破壊・再生連鎖の研究に最適である。これまでにCTOSの構造破壊によって惹起される再生に注目して、破壊・再生連鎖の過程を病理学的・分子生物学的に検討を進めてきた。再現性の良いCTOSの破壊プロトコールとして機械的破壊を選択した。破壊後の遺伝子変化に関与する候補細胞内シグナルを特定した。25年度は破壊再生過程で増殖と幹細胞性の亢進が起こること、破壊再生過程で活性化するシグナルを同定し、阻害により増殖と幹細胞性の亢進が抑制されることを明らかにした。CTOSに対する機械的破壊に加えて、さまざまな治療的破壊(抗がん剤、放射線)を行い、機械的破壊と同様の再生変化が起こることを確認した。Xenograftモデルに機械的破壊を行うことにより、in vivo腫瘍でも同様の変化が起こることを確認した。同所移植モデルでは腫瘍内の脈管侵襲が増加した。大腸癌CTOSを脾臓に注入する肝転移モデルを作成し、CTOSの転移能が破壊後に上昇することを明らかにした。マイクロアレイの結果から破壊再生過程で発現が上昇するマーカー分子を見出した。CTOSの破壊再生過程で劇的に蛋白レベルで発現が上昇することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に沿った研究を行った結果、本研究の基礎となる実験系を確立することができ、また今後解析を進めるべき細胞内シグナルの候補を絞り込むことができた。25年度は様々な治療的破壊が機械的破壊と同様の変化を引き起こすことを発見したことから、構造破壊は普遍的な破壊再生現象を解析するよいモデルになることを示すことができた。現在の治療法の改善や新たな治療戦略への足掛かりになると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から破壊再生過程で発現するマーカー分子を見出している。マーカー分子を用いて臨床病理組織検体を用いた解析を行う。免疫染色によるマーカー局在部位が、破壊・再生を示す形態学的な特徴と一致するか検討する。また、マーカー分子の発現と予後、病期、治療感受性などとの相関を検討する。破壊再生過程を阻害する薬剤を化学療法剤の併用による治療効果を検討する。腫瘍組織内での癌細胞集団に対する破壊・再生における線維芽細胞、炎症細胞、血管内皮細胞など宿主細胞との相互作用の関与を検討する。CTOSと宿主細胞の共培養系の確立を試みる。以上の結果について、患者腫瘍から直接調製したCTOSでも検証し、普遍的要素と症例間の多様性について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の背景と成果を発表し、情報を収集するため、アメリカ癌学会(AACR)、化学療法基盤支援シンポジウム他に出席する。このための旅費を申請する。26年度に行う研究で、試薬、マウス等の消耗品が増加するため。 本研究の背景と成果を発表し、情報を収集するため、アメリカ癌学会(AACR)、化学療法基盤支援シンポジウム他に出席する。このための旅費を申請する。試薬、マウス等の消耗品を購入する。
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