研究課題
基盤研究(B)
浸潤性乳癌に対し根治手術が施行され術後補助療法としてタモキシフェンによるホルモン療法がなされ、本研究に対する文書による同意が取得された240症例について、各症例の血液から抽出されたゲノムDNAを用いてイルミナ社製の610KSNPsシステムによりゲノム全体にわたるSNP(遺伝子多型、一塩基多型)スクリーニングが行われた。また、研究協力医療機関に依頼し、臨床情報の整備をおこない、有効性(再発率、無再発生存率等)や副作用情報のデータベース化を行った。SNPスクリーニングにより得られた遺伝子多型情報と有効性の間でFisherの正確検定およびχ2検定、log-rank testによるカプランマイヤー生存分析を施行した。その結果、ゲノムワイド有意水準(P<1x10^<-7>)を満たす、有効性と非常に強い関連が示唆されるSNPが同定された。これらのSNPについてはデータの再現性確認のための追加症例として、タモキシフェンによる術後内分泌療法を受けた症例、アロマターゼ阻害剤による内分泌療法を受けた症例および前二者によるホルモン療法を受けていない症例、合計127例を用いて検証実験を行った。その結果、タモキシフェンによる治療効果との関連が検証できたSNPを複数認めた。これらのSNPは他の術後療法を受けた症例群では予後との関連が見られなかったため、タモキシフェンの治療効果のマーカーSNPである可能性が示唆された。また、ゲノムワイドSNPスクリーニングにより、術後治療の種類とは無関係に乳がんの予後と関係すると考えられるSNPを複数同定することができた。
3: やや遅れている
研究代表者が研究施設を異動したため、研究施設の整備に時間を費やした。
乳がん内分泌療法の中でも特にタモキシフェン治療の反応性関連遺伝子やタンパクの同定を優先して行う予定ある。
研究代表者の異動に伴い、研究環境の整備、本研究の実務協力者の確保などに時間を要したため、当初の研究計画より遅れをとった。平成24年度の遅れを平成25年度で挽回する予定である。平成24年度からの繰り越し研究費は平成25年度の研究費とあわせて、学会発表の旅費、論文投稿料などに使用する。
すべて 2013 2012
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