研究実績の概要 |
C10orf11の特異抗体をもちいた免疫細胞染色および乳がん臨床検体の免疫組織染色を行ったところ、C10orf11は細胞周期にかかわらず、核には存在せず、細胞質内に存在することが判明した。また乳がんおよび正常乳腺臨床検体53例を用いて、ゲノム網羅的遺伝子発現情報解析を行ったところ、正常乳腺に比べ、ほとんどの乳がん組織においてC10orf11の発現が低下していることが明らかとなった。C10orf11の機能はいまだ十分に解明されていないものの、本研究におけるゲノム網羅的遺伝子発現情報を用いた関連解析の結果、細胞増殖シグナル(wntシグナル)との関連が示唆された。 また、C10orf11結合タンパクについて、STRINGによる解析を行った結果、PRPF6, SF3B4, SNRPD3, PRPF19, PLRG1が相互作用候補タンパクとして同定された。これらの結合タンパクとC10orf11がどのような相互作用により、エストロゲンを標的とした分子標的治療薬タモキシフェンの治療効果に影響するのか未解明な部分もあるが、本研究成果により、乳がん内分泌療法の個別化をさらに促進しうるのと同時に、乳がん内分泌治療の耐性克服にも貢献しうるものと期待される。
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