現在世界中において、生きたウイルスを利用して癌を治療する癌ウイルス療法に関する臨床試験が積極的に行われている。これは、ウイルスが本来持っている癌細胞に感染後、癌組織内で増殖しながら死滅させるという性質を利用する方法である。 本研究では、癌幹細胞の制御にmiRNA(let7)の発現低下が重要な役割を果たすことに注目し、これを指標にして癌幹細胞を根絶する新しい癌ウイルス療法を提案した。純国産ワクシニアウイルスのワクチン株に改良を加えた遺伝子組換えウイルス(MDVV)は、マウス担癌モデルにて強力な抗癌効果と高い安全性を示すとともに、IL-12発現武装化MDVVは抗癌効果を増強することを実証した。
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