研究課題/領域番号 |
24300344
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
藤田 直也 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター・基礎研究部, 部長 (20280951)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分子標的治療 / 併用療法 / EGFR-TKI / MET |
研究概要 |
EGFRを標的にした薬剤であるErlotinibなどのEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)は、活性型遺伝子変異を有する肺がん患者さんに対して高い抗腫瘍効果を示すが、自然耐性の患者さんが4人に1人いることや、一旦効いたと思われた患者さんでも約1年で効かなくなってしまう獲得耐性が起きることが問題となっている。これまでに、野生型EGFRあるいは変異型EGFRを発現していると報告のある肺がん細胞株などを集め、これら細胞株におけるAki1などの発現を検討するとともに、siRNAによるノックダウンと遺伝子導入による過剰発現細胞株を樹立し、EGFR-TKI耐性との相関を検討した。具体的には、 (1)EGFR-TKIに感受性あるいは耐性を示す肺がん細胞株におけるAki1発現検討 EGFR-TKIに感受性を示す細胞株と耐性を示す細胞株の定常状態におけるAki1発現を、Western法で検討したところ、耐性を示す細胞株の幾つかでAki1過剰発現を認めた。 (2)Aki1遺伝子ノックダウンによるEGFR-TKI感受性変化の検討 Aki1は、EGFR活性化に伴いEGFRと結合する足場タンパク質である。そこで、EGFRとAki1の結合を免疫沈降法にて検討した。その結果、変異EGFRとAki1の恒常的な結合を見いだした。さらに、Aki1遺伝子ノックダウンによりEGFR-TKIに耐性を示す細胞にアポトーシスが誘導されることを確認した。Aki1遺伝子ノックダウンにより、EGFRの下流に位置するAktの活性化体であるリン酸化Aktも低下することが確認された。 (3)EGFR-TKI感受性・耐性を示す肺がん細胞株におけるPimキナーゼの発現変化の検討 肺がん・胃がん細胞株におけるPimアイソフォーム発現とEGFR-TKI耐性との関連を検討したが、Pim1、Pim2、Pim3ともに有意な相関は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載の計画に沿った形で、EGFR-TKIへの耐性を示す細胞株においても、AkilがEGFRからのシグナル伝達に重要な役割を果たしていることが証明できたが、PimキナーゼとEGFR-TKI耐性との相関は示せなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成25年度の交付申請書に記載したように、Akil阻害によるEGFR-TKI耐性の克服の可能性を、マウスを用いたin vivo xenograftモデルで証明していく。さらに、Met阻害剤を用いた併用療法の検討も行なう。
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