研究課題
1. 培養細胞実験系や動物モデルを用いた遺伝子産物の細胞生物学的機能確認平成25年度に引き続き培養細胞実験系を構築し、PI3K/AKT/mTOR経路の細胞生物学的機能の確認を行った。具体的には、PI3K/AKT/mTOR経路に変異を有する細胞株(H1048、H446、H1694)と、変異を有さない細胞株(H82、H209)の両者を用いて、PI3K経路の各種阻害剤(PI3K阻害剤、mTOR阻害剤、AKT阻害剤、PI3K/mTOR阻害剤)の感受性試験を行った。この結果により、PI3K経路の4種類の阻害剤の中で、PI3K/mTOR阻害剤が、PIK3CAの活性型変異を有する細胞株:H1048の増殖を、最も特異的に阻害することを確認した。更にH1048細胞株においてリン酸化プロテオーム解析を行い、PI3K/mTOR阻害剤処理前後における、PI3K/AKT/mTOR経路のリン酸化タンパクの変動を確認した、2. 別コホートにおける候補遺伝子異常の疫学情報の収集経気管支肺生検、CTガイド下肺生検等により進行小細胞肺癌と診断が得られたサンプルにおいて、カスタムパネル(244遺伝子、1.5Mb)を用いた標的遺伝子解析を実施した。この結果と次世代がん研究戦略プロジェクトの研究で得られた変異情報を集計し、合計90例の小細胞肺癌進行例において、候補遺伝子異常の疫学情報の収集を行った。このうち小細胞肺癌進行例28例(31%)にPI3K/AKT/mTOR経路に遺伝子異常を認め、小細胞肺癌で既知のドライバーとして知られているMYC familyと相互排他性の傾向を認めた。これらの結果より、PI3K/AKT/mTOR経路が、進行小細胞肺癌の発生において、生物学的に重要な役割を担っている可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Thorac Oncol
巻: 9(9) ページ: 1324-31
10.1097/JTO.0000000000000250