研究課題/領域番号 |
24310001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡邊 剛 北海道大学, 大学院・理学研究院, 講師 (80396283)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | サンゴ骨格 / 栄養塩 / 黒潮 |
研究概要 |
我が国の気候や沿岸生態系に多大な影響を及ぼす黒潮の近過去および将来の地球温暖化に伴う動態の変化は未だに明らかになっていない。本研究では、黒潮流域の5つの異なる地点の造礁性サンゴ骨格を用いて週~月単位の時間精度で過去100年間の黒潮流量の変化を定量的に復元する。これまで、黒潮流量の観測は精々40年間しかなく、また、水温、塩分を指標とした海水の物理量を指標にしたものであった。本研究では、新たに栄養塩の指標を開発し応用することで、サンゴ骨格から復元される、既存の手法と組み合わせることにより、水温(ストロンチウム/カルシウム比)、塩分(酸素同位体比)、栄養塩(窒素同位体比)の時空間変化を復元し、過去100年間の黒潮の挙動を明らかにすることを目的としている。北太平洋の5地点のサンゴ骨格コアの解析を行い、黒潮流量の長期変動パターンを明らかにする。それらの一次情報は、北半球を支配する太平洋十年規模振動などのより広域的な気候現象の仕組みを解釈し、北太平洋沿岸の国々の気候変化や黒潮による漁獲量変化の予測につながるものと考えられる。平成24年度は既存のサンゴ骨格試料の酸素同位体比および窒素同位体比分析を行った。鹿児島県甑島と高知県竜串、和歌山県串本の3地点のサンゴ骨格コアの分析を開始した。酸素同位体比の測定は北海道大学に設置されている炭酸塩前処理装置(carbonate device)を接続した安定同位体比質量分析計で測定した。また海水中の酸素同位体比から水温を推定するため、波長スキャンキャビティリングダウン分光法による簡便で高感度の同位体分析装置を設置し、その測定を始めた。サンゴ骨格の窒素同位体比分析は高知県竜串のコアが終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた分析装置の立ち上げおよびサンゴ骨格コアの処理が終了し、分析を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
高知県竜串湾のサンゴ骨格から黒潮の水塊が検出されたため、熱帯・亜熱帯域の黒潮の源流に生息するサンゴを優先的に分析する。今年度、ハワイ島における調査が終了しなかったため、来年度の計画として検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、サンゴ骨格の酸素同位体比、ストロンチウム/カルシウム比の測定を行う。加えて、バリウム/カルシウム比の分析を開始する。ハワイ島もしくは代替地点における野外調査をおこなう。
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