研究概要 |
学術研究船白鳳丸によるKH-12-3次航海(2012年7月6日~8月16日)において、難分解性溶存有機物の鉛直分布パターンの南北海域比較と、および、それに対応した微生物群集組成の分布の調査に取り組んだ。難分解性溶存有機物に関する試料は、全18観測点の全層(平均25層)から試料を採取し、ガラス繊維ろ紙(Whatman GF/F)による濾過海水をガラスアンプルまたはガラスバイアル瓶に封入し凍結保存して陸上に持ち帰った。陸上の研究室にて、難分解性溶存有機物の指標の一つとして、紫外線領域の吸収スペクトルの測定を開始した。難分解性溶存有機物に由来する吸収領域における吸収係数から、難分解性溶存有機物の鉛直分布の海域間比較を明らかにする予定である。 一方、微生物群集組成の解析のために、3つの観測点(Stn. 1, 5 and 9)で9深度(0, 10, 100, SCM, 200, 400, 1000, 2000 and Bottom-50)から5Lまたは10Lの海水を採取し、孔径3.0μmと0.2μmのフィルターに連続的に濾過した。これらのフィルターからDNAを抽出し、微生物群集組成の解析を行うために、方法論的な検討を行った。従来法(PCR-DGGE法、クローンライブラリー法)に加えて、454シーケンサーによるディープシーケンス法の検討を行った結果、16SrRNA遺伝子の可変領域の一つであるV1-V2領域の配列を用いることで、効率的かつ従来法とも一致する群集組成解析ができることが示唆された。来年度は、これらの手法を用いて、KH-12-3次航海で得られた試料について、微生物群集の鉛直的な分布パターンを明らかにする。
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