研究課題/領域番号 |
24310008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 浩史 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50260518)
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研究分担者 |
浜崎 恒二 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80277871)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 炭素循環 / 生元素動態 / 海洋微生物 |
研究概要 |
学術研究船白鳳丸によるKH-13-7次航海(2013年12月~2014年2月)に参加し、中部南太平洋における難分解性溶存有機物と微生物群集構造の鉛直分布パターンの南北海域比較の調査に取り組んだ。難分解性溶存有機物に関する試料は、10観測点の全層(平均25層)から試料を採取し、ガラス繊維ろ紙(Whatman GF/F)による濾過海水をガラスアンプルに封入し凍結保存して陸上に持ち帰った。陸上の研究室にて、難分解性溶存有機物の元素組成(C:N比)を中心にその鉛直分布の海域間比較を明らかにする予定である。微生物群集構造に関する試料は、14観測点で9深度から5Lまたは10Lの海水を採取し、孔径3.0μmと 0.2μm のフィルターに連続的に濾過した。今後、これらのフィルターからDNAを抽出し、454シーケンサーによるディープシーケンス法を用いて微生物群集構造の解析を行う。今年度は、有機物分解に影響すると考えられる微生物群集構造の変動要因を解析するための統計学的な解析手法の検討を行った。特に、各観測点における群集構造の決定要因として、環境の影響(水温、塩分、栄養塩、有機物濃度など)と空間構造の影響(観測点の配置による分散の効果)の相対的な重要性を明らかにするために、多変量解析の一種であるVariation Partitioningを導入した。KH-11-10およびKH-12-01航海の試料解析で試行し、その有用性を確認した。また、亜熱帯循環域の表層海水を用いて溶存有機物の分解実験を行い、分解に伴う溶存有機物の質的変化、および難分解性有機物の生成と分解に関わる細菌種を特定するための時系列サンプリングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白鳳丸研究航海に主席として乗船し、船上での共同実験も順調に行い、陸上での分析試料については目的試料の採取と前処理を行ったうえで陸上に持ち帰った。陸上での分析の準備も進んでおり、概ね順調に進展しているものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
白鳳丸によって採取された試料の陸上での分析を進める。平成26年6-8月に実施予定の白鳳丸KH-14-3次航海に主席として乗船し、中部北太平洋の赤道~北極海にいたる南北トランセクト上で難分解性溶存有機物、微生物群集組成の南北分布の特徴について解析を行う。また、微生物炭素ポンプ機能の検証のための船上実験を共同で実施する。年度の後半はデータの取り纏めを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
白鳳丸による研航海が終了したのが2013年2月中旬であり、試料が研究所に持ち込まれてから年度内に分析できる数は非常に限られていたため、試料の分析費用分を中心に次年度使用額が生じた。 昨年度の白鳳丸航海で採取した試料の分析に要する、消耗品や分析補助の謝金などで使用する予定である。
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