大気中の二酸化炭素の海洋へ固定メカニズムとして近年提唱された“微生物炭素ポンプ”という新しい概念を検証するために、太平洋における難分解性の溶存有機物(DOM) と細菌群集の分布調査と船上培養実験から明らかにした。その結果、亜熱帯表層には炭素に富んだ微生物利用性の低い相対的に難分解なDOMが蓄積していることが明らかとなった。また、リグニンを指標とした陸起源の難分解性DOMの分布は、北太平洋中層水(NPIW)にピークを示し、ユーラシア大陸起源の河川水中に含まれる陸起源DOMがNPIWによって輸送され北太平洋全体に広く分布しているメカニズムが示唆された。
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