研究課題/領域番号 |
24310009
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
長尾 誠也 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (20343014)
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研究分担者 |
山本 政儀 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (10121295)
井上 睦夫 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (60283090)
福士 圭介 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (90444207)
桐島 陽 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (00400424)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 河川流域 / Cs-137 / Cs-134 / 溶存態 / 懸濁態 / 河川水 / 移行動態 / 沿岸生態系 |
研究概要 |
福島原発事故により環境中に放出された放射性核種の陸域と沿岸域での放射能の影響評価を行うために、福島県浜通りを調査地域に設定し、沈着した放射性セシウムの土壌から河川への移行動態と河川から沿岸域への移行量を把握するとともに、沿岸域での放射性セシウムの挙動を解明することを目的に研究を開始した。 平成25年度は、阿武隈川の上流から下流までの4地点、宇多川、新田川、夏井川、鮫川の下流域の各1地点で平水時の河川調査を実施した。また、放射性セシウムの輸送に及ぼす降雨の影響を評価するため、台風通過後の2012年10月1日、2013年10月17日あるいは22日に阿武隈川の下流1地点(岩沼)、宇多川、新田川、夏井川において調査を行った。 新田川、宇多川、阿武隈川(岩沼)の河川水中の134Csと137Csの放射能濃度の系時変化は、平水時には全体的に減少する傾向を示した。阿武隈川河川水の懸濁態放射性セシウムの存在割合は70~90%の変動幅で推移しているが、太平洋側の小河川(宇多川、新田川、夏井川、鮫川)では、2011年5月から2012年5月までの間に、懸濁態放射性セシウムの存在割合が約30%から徐々に増加する傾向にあった。これは、事故後には河川流域に沈着した放射性セシウムの水への溶存性が高いが、時間とともにエイジングの効果で流域土壌から溶出しにくくなることに関連していると考えられる。一方、台風通過に伴う降雨の影響時に観測した2012年6月、2012年10月、2013年10月では、放射性セシウムの放射能濃度は各測点で増加した。新田川では、137Cs放射能濃度はそれぞれ、1.83Bq/L 、1.68Bq/L、 0.50Bq/Lと降雨により異なる変動幅であった。これは、事故後の時間経過により流域からの放射性セシウムの供給量が減少したか、あるいは降雨のタイプにより流出性が異なる可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画されていた河川調査や沿岸域の調査が実施できた。また、継続的な平水時の河川調査とともに、台風通過後の降雨時影響に関する調査を行い、時系列での降雨の影響を把握することが出来た。また、新田川で河口域の調査も実施、河川と沿岸域を繋ぐ予備データが取得出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
河川流域から沿岸域への放射性セシウムの移行動態を継続して調査し、特に降雨時観測に重きをおいて河川調査を実施する。また、河川流域から供給される放射性セシウムの起源推定と河口域までの移行動態を検討するため、溶存態・粒子態ともに放射性セシウムと安定セシウムとの関係を検討する。さらに、懸濁粒子の物性測定、放射性セシウムの吸脱着過程、安定性を室内実験を実施し、将来予測に寄与できる移行動態に関する基礎データを提示するように研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた打ち合わせのための出張旅費を使用しなかった。また、安定セシウム測定用の消耗品等が既存の物品で充足できたために使用しなかった。以上の理由により残額が生じた。 H26年度前半の早い時期にこれまでの成果について打ち合わせを実施し、最終とりまとめに向けて検討を進めるとともに、継続的な調査・測定環境を維持するために消耗品の購入を進める。
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