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本研究は、過去1300年間の気候復元を、とりわけ情報量の少ない低緯度海洋域を対象として実施することを目的とする。そのため、琉球列島石垣島海域において、多様な年代に生息した造礁サンゴ年輪試料を採取し、骨格炭酸塩の放射性炭素による年代決定、酸素同位体比および金属濃度比による水温変動の復元を行う。最終年度は以下の項目を実施した。
１）石垣島登野城礁で採取した埋没化石サンゴの分析：前年度に引き続き2000年および2001年に採取した試料の分析を行い、西暦800年から1150年までの350年間について酸素同位体比の連続データを得ることができた。
２）石西礁湖で採取した斃死サンゴ年輪試料の分析：2009年に採取した試料の酸素同位体比分析を行い、西暦1090年から1240年までの150年間の連続データを得ることができた。
３）トカラ列島宝島沖で採取した現生サンゴ年輪試料の分析：2005年に採取した、約650本の年輪を有す現生サンゴ試料の酸素同位体比分析が完了した。最下部（最古部）数10cmについては年輪方向が掘削方向に対して平行ではないため、実際の年輪数は575本となり、1430年までの連続データを得ることができた。
以上より、2005年から1430年までの575年間および西暦1240年から800年までの440年間、合計1015年間についての酸素同位体記録を得ることができた。現生サンゴに関しては、前年度に分析が完了した石垣島米原沖に生息し、約450年輪を有す試料と、今年度得られた宝島試料について比較を行ったところ、全体的な傾向がほぼ一致した。
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