研究課題
福岡市内において、引き続き粒子状物質の連続観測を行い、微小粒子の重量濃度およびその成分分析(SO4, NO3, Cl, 有機物など)を実施するとともに、それらの結果と、福岡における心筋梗塞データを結合し、微小粒子の化学成分が心筋梗塞発症に及ぼす影響について解析を行った。対象期間が2012-201年と短期であったため、サンプルサイズが限られたが、硝酸塩との間に有意に近い関連がみられた。微小粒子の各成分が循環器疾患発症に及ぼす影響についての検討は国内ではなされておらず、特定の粒子成分が健康影響に寄与する可能性を示した重要な知見である。粒子状物質は様々な発生源からの粒子の混合物であり、発生源により健康影響の大きさが異なる可能性がある。大気モデルによるシミュレーションにより2012年における日々の国外由来PM2.5と国内由来PM2.5濃度を算出し、その結果と心筋梗塞データを結合し、発生源別(国内由来、国外由来)PM2.5濃度が心筋梗塞発症に及ぼす影響について検討した。年間平均濃度では、国外の寄与は57%であり、月別濃度では、夏には国外の寄与は低下し、50%を切るものの、冬の国外の寄与が高かった。心筋梗塞との関連では、国内・国外ともに有意な関連がみられず、明らかな差もみられなかったが、今回の検討により、シミュレーションによる発生源別PM濃度の推定値を用いることにより、健康影響に対する寄与も明らかにすることができる可能性が示唆された。福岡における脳卒中登録情報を用いて、PM2.5濃度との関連について検討したところ、PM2.5が10μg/m3上昇することによるオッズ比は1.032(95%信頼区間: 1.001, 1.064)であった。PM2.5曝露による循環器疾患発症に対する影響の日本国内での検討はなく、特に脳血管疾患に対する影響に関する知見は国外でも少ない。本研究の知見は、PM2.5が循環器疾患発症に対する影響を示した非常に重要なものである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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