研究課題/領域番号 |
24310035
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
林 雅秀 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (30353816)
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研究分担者 |
三須田 善暢 岩手県立大学盛岡短期大学部, 盛岡短期大学部, 准教授 (10412925)
松浦 俊也 独立行政法人森林総合研究所, 森林管理研究領域, 任期付研究員 (00575277)
宮本 麻子 独立行政法人森林総合研究所, 森林管理研究領域, 主任研究員 (50353876)
朝岡 誠 立教大学, 社会情報研究教育センター, 学術調査員 (70583839)
金澤 悠介 立教大学, 社会情報研究教育センター, 助教 (60572196)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 共有林 / コモンズ / シミュレーション |
研究概要 |
1)複数の集落で実施した共有林管理の中心人物に対する聞き取り調査に基づいて、現在のルール・制度・社会的ネットワークの相互連関について、開かれた共有林管理が成功する条件を明らかにした。具体的には、調査した8つの集落のうち、4集落では積極的な部外者入山制を行われており、残る4集落ではそうした制度は行われていなかった。集落において積極的な部外者入山制が実施される条件を検討した結果、集落内の寄り合いと共同で実施する水路や道路の清掃作業への参加率が高い集落、伝統芸能の保存活動、農村宿泊のための施設の運営、山菜まつりといった集落活動を実施している集落、言い換えると、密な社会関係の存在する集落で積極的な部外者入山制が実施されていることが明らかとなった。また、ルール・制度・社会的ネットワークの変動について、1つの集落において関連する集落資料の収集を行った。 2)1970年代末のカラーオルソ空中写真や、旧陸地測量部発行1910年代、1930年代、1950年代旧版地形図(5万分の1)』に基づき、集落ごとの過去の植生図の復元を進めた。 3)プロトタイプのABMによる分析の結果、部外者を極めて発見しにくい共有林では入山料を監視者のみで分配する集落の平均利得が高いものの、監視過剰な状況に陥りやすいため、部外者発見確率が大きくなるにしたがって入山料を集落住民全員で分配する集落の方が平均利得が大きくなった。また、部外者発見確率がより大きくなると部外者を排斥する集落の平均利得が最も高くなることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)ルール・制度研究、2)生態学的研究、3)シミュレーション研究のそれぞれで一定の研究成果が得られ、それらについて各担当者が学会報告も行ったことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続いて、ルール・制度・社会的ネットワークの変動についての集落調査、当該集落での共有林利用状況についてのデジタル地図化、シミュレーション・モデルの精緻化と一般化を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の調査のなかで各集落で撮影・入手した資料について、データ入力作業が昨年度中に間に合わなかったため、これらの作業を非常勤職員を雇用して次年度実施する。
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