研究課題/領域番号 |
24310038
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
田内 広 茨城大学, 理学部, 教授 (70216597)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線 / 遺伝子 / 損傷修復 / 突然変異 |
研究実績の概要 |
本課題は、Nbs1やKu70がそれぞれ制御する2つのDNA二重鎖切断(DSB)修復系路(相同組換え:HRと非相同末端結合:NHEJ)を中心に、放射線被ばくによって引き起こされたDSBの修復過程と突然変異や遺伝的不安定性の誘導を直接的に関連づけて解析可能にすることを目的としている。その目的を達成するために、分子生物学・細胞工学的手法を用いて、内在ゲノムDNAへの時間・部位特異的なDSB導入による新規の突然変異実験系を樹立し、細胞周期進行などに伴うDSB修復機構の変化から、突然変異の頻度やスペクトルまでを包括的に解析することを具体的計画としている。平成26年度は、内在ゲノムを標的とするジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を用いた新たな部位特異的DNA二重鎖切断による突然変異実験系について、アプローチを変えながら実験系を樹立することに主眼をおいた。その結果、これまでと違う細胞系に変えることで、時間制御はできないものの、有効なデータが取得できるシステムを組み上げることができた。最終年度の平成27年度中には、平成26年度の解析結果を論文として公表を目指したいと考えている。また、新たなゲノム編集酵素系についてもテストし、こちらも有効に動くことが確認できたが、効率にはあまり差がなかった。一方、本課題のもうひとつの主要な細胞系である時間・部位特異的DSBによる相同組換え修復系については、まだ論文の受理には至っていないので、データを追加する作業を継続している。なお、DSB修復機構の中心となる制御タンパクNbs1とKu70をダブルノックアウトした細胞の解析についても論文としてまとめるべく、裏付けデータの取得を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の主要な部分である、時間・部位特異的DSBによる相同組換え修復系について論文公表に至っていないことについて若干の遅れがある。その一方で、内在遺伝子を標的とする部位特異的なDSBによる突然変異実験系については論文にまとめられるだけのデータが取得できた。これらを合わせて判断すると、若干の遅れがあるものの、平成27年度までに当初目標には到達できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
内在ゲノムDNAに対するZFNを用いた部位特異的損傷導入系については、最低限の目標としていた実験システムは樹立できたので、さらにベクターを改変して、少しでも調節性能を高めた系に変えたいと考えている。平成27年度は最終年度のため、成果の公表にも活動の重点をおき、最終的に論文として出すことを目指したいと考えている。
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