研究課題
本課題は、Nbs1やKu70がそれぞれ制御する2つのDNA二重鎖切断(DSB)修復系路(相同組換えと非相同末端結合)を中心に、放射線被ばくによって引き起こされたDSBの修復過程と突然変異や遺伝的不安定性の誘導を直接的に関連づけて解析可能にすることを目的としている。その目的を達成するために、分子生物学・細胞工学的手法を用いて、内在ゲノムDNAへの時間・部位特異的なDSB導入による新規の突然変異実験系を樹立し、細胞周期進行などに伴うDSB修復機構の変化から、突然変異の頻度やスペクトルまでを包括的に解析することを具体的計画とした。平成27年度は、時間制御まではできなかったものの、本研究課題で樹立した内在ゲノムDNAを標的とするジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)による部位特異的DSBで誘発される突然変異実験系を用いて、修復機構に欠損を持つ細胞における突然変異の出現頻度と変異スペクトルに関する比較解析に取り組んだ。その結果、遺伝子突然変異を引き起こす主要なDNA損傷修復機構に加え、その鍵となる過程に関する新たな知見が得られ、DSBから突然変異に至る全容の解明に大きく近づくことができ、国際放射線科学会議(ICRR2015)および国際マイクロビームワークショップ(IWM2015)で発表した。一方、本課題のもうひとつの主要な細胞系である時間・部位特異的DSBによる相同組換え修復系については、昨年度までに得られた成果をまとめて国際放射線科学会議(ICRR2015)で発表するとともに、修復を制御する損傷応答シグナルとの関連を引き続き解析している。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
http://tauchilab.sci.ibaraki.ac.jp