研究課題/領域番号 |
24310040
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
増田 雄司 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (30273866)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 複製後修復 / 損傷乗り越えDNA合成 / 突然変異誘発 / ユビキチン / PCNA / RAD6-RAD18 / HLTF / template switch |
研究概要 |
放射線や環境変異原によって引き起こされる重要な生物影響の一つは突然変異の誘発であり、その分子機構の解明は当該研究分野の重要課題である。誘発突然変異の主要な原因である複製後修復には二つの経路、忠実度の低い損傷乗り越えDNAポリメラーゼを介したtranslesion DNA synthesis (TLS)と、忠実度の高いDNAポリメラーゼを介したTemplate switch (TS)経路が存在する。損傷部位でのTLSまたはTSへの振り分けは、突然変異誘発のリスクに直接反映されると考えられ、その制御は遺伝的安定性の維持に極めて重要である。本研究では、試験管内での再構成系を利用して、複製後修復経路を制御するPCNAのユビキチン化/脱ユビキチン化の分子機構を解析し、突然変異の誘発に関わる複製後修復経路の制御機構の全体像の解明を目的としている。 PCNAのポリユビキチン化の分子機構の解析 TSは複製因子の一つであるPCNAのポリユビキチン化により制御される。本年度は、PCNAのポリユビキチン化反応を試験管内で再構成し、その分子機構を解析した。その結果、PCNAのポリユビキチン化反応は、従来考えられてきた段階的なユビキチン分子の連結による反応ではなく、あらかじめ合成されたユビキチン鎖が一度に転移する反応によって生成することを発見した。この発見により複製後修復経路の制御機構についての新規モデルを提唱した。 PCNAの脱ユビキチン化の分子機構の解析 PCNAのユビキチン化反応は、DNA上にロードされたPCNAがRFC等の因子により保持された場合に特異的に進行する。一方で、脱ユビキチン化反応についての詳しい解析は行われていない。本年度は、USP1による脱ユビキチン化反応について解析した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的のうち、「PCNAのポリユビキチン化の分子機構の解析」については、当初の目的通りPCNAのポリユビキチン化の分子機構を明らかにし、その成果をNucleic Aacids Researchに発表した。また、「PCNAの脱ユビキチン化の分子機構の解析」については、USPlによる脱ユビキチン化反応について解析した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の目的の「PCNAのポリユビキチン化の分子機構の解析」ならびに、「PCNAの脱ユビキチン化の分子機構の解析」についての研究が、おおむね順調に進展していることから、これまで通りの計画に従ってに研究を推進する。
|